唐津市の元職員が農村支援の補助金横領 4200万円支払い命令、佐賀地裁判決
唐津市の元職員の60代男性が、同市七山で地区の農村支援の補助金を横領していたことが3日、分かった。地区の関係団体が損害賠償請求訴訟を起こし、男性に約4200万円の支払いを命じる佐賀地裁判決が今年4月に確定している。 同日の市議会一般質問で浦田関夫市議(共産)が問題についてただし、青山泰三総務部長は、市職員倫理行動基準を引き合いに「公務外であったとはいえ、市の信用を失墜させかねない事案であり、大変遺憾に思う」との認識を示した。 男性が職員だった2019年1月以降、地区の住民らが市に情報提供し、市は職員に事情を聴くなどしていた。青山部長は「(男性側の)弁護士から『訴訟で解決を図る』と連絡があり、市の顧問弁護士と協議した結果、民事上の問題であり、訴訟となることで市の調査の必要はないと判断した」と答弁した。 問題を巡っては、地区の「直接支払組合」「農村環境を守る会」が19年12月、提訴した。佐賀地裁判決によると、男性は公務員としての知識、経験を生かし二つの団体の設立・運営に携わり、会計や組合長などを長年務めていた。判決で「組合から2119万円、守る会から1723万円を不法行為(横領)により取得した」と認定した。 原告の一人は「『遺憾』で締めくくられては納得できない。市は5年前にきちんと調査すべきだった」と語った。(宮﨑勝)
宮﨑勝