反則指示を認めない日大学長の曖昧な声明文。そこに浮かぶ次なる疑念とは
だが、大塚学長は、第三者委員会の設置について「完全に(本学と)関係のない人を選ばなきゃいけないんですね」と言いつつも、「第三者の委員会は、その名前のとおり、あまり知られていない分野で、アナウンスしたり、そういうことはあまり行われないもの」「我々が入学試験の委員を誰がやっているか分からないようにしているのと同じだと思う」という誤った認識でメンバーを公表するつもりのない意向さえ口にしたのだ。 日大と利害関係のないことが認められるメンバーの選考過程からガラス張りにすべきだが、第三者委員会の設置をリードしなければならない人間が、この程度の認識で果たして、公正な第三者委員会を設置し、真実に迫った今回の関東学連の結論を踏襲するような答申を得ることができるのだろうか。 実際、過去にも、企業の不祥事で設置された第三者委員会が、依頼者に都合のいいような答申を“忖度”して導いた例がある。不正会計の問題で設置された東芝の第三者委員会は、本社の隠蔽に加担するような答申を出していたし、東京電力の福島第一原発事故における第三者委員会は、杜撰な調査で、依頼者に有利な事実認定を行って問題となった。 日大のトップは、政治家とのつながりも深く、その政治家絡みの弁護士でも出てきたら、どんな結論を導くかわからない。当然、顧問弁護士の参加は禁じられているが、その流れを汲む弁護士でも出てきたら、と想像するとぞっとする。 内田前監督を大学の常務理事から外すか、どうかの大きな問題も残っている。内田前監督は、その進退も第三者委員会の結論に委ねるとしている。これらの疑念を日大が情報を開示してクリアにしていかない限り、日大の経営構造の改革やチームの組織改革など、日大アメフット問題の根っこの部分は何も解決に向かわないのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)