反則指示を認めない日大学長の曖昧な声明文。そこに浮かぶ次なる疑念とは
25日に行われた大塚学長の会見では、当該DL選手の主張と、内田前監督、井上前コーチの主張が真っ向から対立していることに関して「当該選手と、監督、コーチとの話には齟齬がある。これについては今、第三者委員会を立ち上げ、連盟の裁定を待ち、被害者から訴えられている流れがあるのでコメントは控えたい」と、逃げを打った。これが大学側の姿勢なのだろう。 おそらく自分たちが立ち上げる第三者委員会の答申を待ち、その答申で「反則指示があった」と認定された時点で初めてこれまでの主張を撤回する考えなのだ。加えて警視庁の捜査が入っている段階で、不用意な主張の変更(供述の変更)をしたくないのかもしれない。 だが、この肝心の第三者委員会に対しての情報がまったく日大サイドから出てこない。 あろうことか、大塚学長も、25日の会見の段階で「まだ完全に立ち上がったかどうか聞いていない」「私は関与しないのでわからない」「できる限り早く立ち上げたい」と、ここでも曖昧な発言をしている。 「引き受けてくれる人が(なかなかいなくて)大変苦労しているが、外部で引き受けてくれる人が出てきているような話を聞いている」とも語っているので、一応、人選は進めているようだが、関係者の間からは、この日大による第三者委員会に対する疑念の声が上がっている。 元関学大の名QBで、現在アサヒシルバースターのHCを務める有馬隼人氏も「第三者委員会を設置することは発表されていますが、どんなメンバーで、どんな進め方をして、いつからどういうタイムスケジュールで答申を出すのか、という大切な情報がまったく日大側から出てきていません。厳しい言葉になりますが、これは無責任です。関東学連が先に出した結論と違う見解でも出してくることになれば、また問題の根本解決に時間がかかる危険性があります」と指摘する。 本来「第三者委員会」は、企業の不祥事に対して、信頼を回復するための危機管理のひとつで「事実認定」「再発防止策の作成」が主な役割となる。第三者委員会の設置にあたっては、その経緯、目的、委員会メンバー、予定を開示しなければならない。日弁連が作成している「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」によると、委員会は依頼の形式にかかわらず、企業等から独立した立場で、企業等のステークホルダーのために、中立・公正で客観的な調査を行うもので、依頼者と利害関係のない3人以上での構成が必要。事案によっては、弁護士だけでなく、学識経験者、ジャーナリスト、公認会計士などの有識者が委員として加わることが望ましいとされている。