バイクのタイヤには、なぜ「ヒゲ」が生えてるの? 正しい呼び方があるのか!
タイヤに生えた「ヒゲ」の正体とは?なぜできるの?
新品のタイヤを見ると、表面からいくつものゴムが飛び出しているのが確認できます。これは通称「ヒゲ」と呼ばれるもので、走行しているうちに徐々に摩擦によって消えていくと言います。 【画像】「えっ…!」これがタイヤに生えた「ヒゲ」の正体です(7枚) そもそもなぜ、新しいバイクのタイヤにはヒゲが生えているのでしょうか。 新品タイヤについている通称「ヒゲ」の正しい名称は「スピュー」。タイヤの製造過程で発生するもののようです。
実はバイクのタイヤは、最初から丸い形に作られているわけではありません。タイヤの表面であるトレッド、側面のサイドウォール、ホイールと接触するビードなど、板状の複数の部品を繋ぎ合わせて丸くします。これが生タイヤというタイヤの原型です。 そして最後に金型にあて、熱と圧力を加えて化学反応を起こすことで表面にパターンができ、私たちが目にするタイヤが完成します。この時、ゴムに均等な圧力をかけて内部の余分な空気を抜くために、金型にはいくつもの小さな穴が空いています。 この熱と圧力をかける過程で、空気と共に高温になったゴムが溶けて穴に流れ込み、金型から外した時にタイヤの表面に付いたまま出てきます。この出てきたゴム部分が、スピューになるというわけです。 もちろん、このヒゲができる作り方にも理由があります。作られたタイヤの中に空気が残ったままだと走行中の圧力でタイヤが変形したり、最悪破裂してしまう恐れがあるからです。タイヤの品質を保つため、成形中には熱で溶けたゴムが穴に入り込むほどの強い圧力をかけるのです。
ちなみにヒゲはただ製造過程でできるものであり、ヒゲがあるからと言って走行性能に影響しません。つまり、走行する上で必要なものではないというわけです。メーカーによっては、出荷前にヒゲを少し残る程度まで切り取るところもあるようですが、そのまま出荷される場合も少なくないと言います。 なお、必要の無いものなら最初から切り落とせばよいのでは?と思う人もいるかもしれませんが、それはおすすめできません。 ヒゲを落とすときにタイヤの表面に傷をいれてしまうと、その部分から傷が広がったりタイヤの劣化が進行したりする恐れがあります。 メーカーがヒゲを残しているのも、切り過ぎて大事なタイヤ表面を傷つけないため。走行していれば自然に取れていくものなので、無理に切らずそのままにしておくとよいでしょう。 また新しいタイヤに関連する言葉として、「皮むき」というワードを耳にしたことのあるライダーもいるのではないでしょうか。 皮むきとは、新品タイヤの表面についている保護用のワックスや剥離剤を走行することで削り落として、タイヤが本来の性能を発揮できる状態にすることです。新品タイヤの見た目はつるりとしていて綺麗なものの、この状態で無理な走行をすると十分なグリップ力を発揮できず、突然スリップするなどの危険な挙動を起こす可能性があります。