自転車飲酒運転厳罰化1カ月 認識甘く 検挙数137件に 福岡県警
自転車の飲酒運転を厳罰化した改正道路交通法が11月から施行された。施行1カ月で県内では自転車の酒気帯び運転の検挙数が137件(11月末現在)に上り、うち逮捕は6件となった。忘年会や新年会で飲酒機会が増える中、福岡県警は取り締まりを強化している。【栗栖由喜】 12月中旬の金曜午後9時ごろ、仕事帰りの会社員や観光客など多くの人が行き交う福岡市中央区天神の警固公園前。歩道を無灯火で走ってきた自転車の男性(46)に誘導棒を持った警察官が停止を求めた。「飲酒運転の取り締まりです」。警察官が声をかけると、男性は「(酒を)飲みました」と明かした。 男性は仕事帰りに中洲の飲食店で焼酎をコップ1杯、ストレートで飲んだ後だった。呼気からは基準値の3倍近いアルコールが検出され酒気帯び運転容疑で検挙された。男性は取材に「厳罰化の詳細は知らず、自転車の飲酒運転がだめなことは正直よく分かっていなかった」と話す一方、「自転車の事故は多く、自分の意識が甘かった。自転車も車であると認識した」と反省した様子で語った。 県警は午後9時過ぎにも別の50代男性を同じ容疑で検挙した。男性は自転車で車道を逆走し、警察官が声をかけると酒の匂いがしたという。自宅で500ミリリットル缶のハイボール1本を飲んだ後に外出し、自転車で帰宅途中だった。飲酒運転の理由については「(家まで)近いからいいと思った」と話したという。 改正道交法では、自転車の運転時に基準値(呼気1リットル当たり0・15ミリグラム)以上のアルコールが検出された場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑が新たに設けられた。飲酒運転をする恐れのある人に自転車や酒を提供した場合などにも罰則がある。 中央署の今富康次・交通1課長は「1カ月で137件は多い。自転車は他の車に比べ(飲酒運転することへの)ハードルが低いと思われる。自転車も厳しく罰せられることを十分認識し、飲酒運転はしないよう徹底してほしい」と呼びかけた。