【速報】市川市下水道汚職 元下水道部次長ら贈収賄認める 業者側には懲役1年6月求刑 千葉地裁で初公判
千葉県市川市の下水道部次長が業者から飲食接待を受け、工事の落札に有利な情報を教えたとされる汚職事件で、収賄罪などに問われた元下水道部次長の八田一生被告(59)=懲戒免職=と、贈賄罪などに問われた建設会社「武内建設」(市川市)の元社長、武内剛被告(60)の初公判が3日、千葉地裁(野々山優子裁判官)であった。2人は「間違いありません」と起訴内容を認めた。公判では検察側が、市川市内の業者間で受注調整もあったと指摘した。 武内被告は結審まで進み、検察側は懲役1年6月を求刑。弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。判決は17日。八田被告は今後、別の会社にも入札情報を漏らしたとされる追起訴分の審理が予定されている。 検察側は冒頭陳述で「2014年ごろ、武内被告から八田被告への飲食接待が始まった」と指摘。16年に八田被告が市の課長になり入札の秘密事項を知り得る立場になると、繰り返し入札情報を得たと述べた。 また、武内建設の売り上げは市川市が発注する「汚水管渠(きょ)布設(敷設)工事」が大部分を占めていたとした上で、武内被告は会社の受注計画を立てるため、八田被告から翌年度発注予定の同工事の概要が分かる資料の提供も、繰り返し受けたと指摘した。 武内被告に対する論告求刑で、検察側は「今回の事件は常習的に行われた犯行の一環」と指摘。「賄賂額は多額で、不正に知り得た入札情報を基に積極的に入札して公正を害し悪質だ」と非難した。 一方、武内被告の弁護側は「1回あたりの接待額は6千円ほどで多額と言えない」と主張。「市川市には受注調整をする悪慣習があった。許されないことではあるが、この関係をやめづらい環境にあった」と情状酌量を求めた。 起訴状によると、八田被告は2022年12月~今年4月、50回にわたって松戸市などの飲食店で、武内被告側から代金計約30万6700円相当の接待を受け、昨年の8月と10月に開札された市川市発注の下水道関連工事3件の入札の予定価格や最低制限価格を事前に漏らしたとされる。 八田被告は工事3件のうち1件の入札情報については、市川市役所内から電話で伝えたとされる。 八田被告は武内建設とは別の市川市内の会社にも同市発注の工事19件の予定価格を漏らしたとして、官製談合防止法違反の罪で追起訴されている。この別会社の元社長の男性(57)も公契約関係競売入札妨害の罪で起訴された。 起訴状によると、この元社長は同市内の建設会社を組合員とする「京葉建設業協同組合」の元代表理事。