注連飾りも消えディーラも明かず……バスやタクシーが動かなくなる日も近い!? クルマ関係の正月風景もさま変わりしつつあった
かつてはお馴染みだった正月の風景もいまはなし
子どものころの元旦と言えば、道路はいま以上にガラガラで、街なかにトラックの姿はほぼなかった。そして、2日や3日になると、「初荷」ののぼり旗をつけたトラックが走り出していたのを覚えている。調べてみると、走行中の安全性の観点からのぼり旗はつけなくなっていったとのことである。 【画像ギャラリー】お正月の定番風景だったクルマの注連飾り また、いまどきは元旦とはいえ通常時とははるかに少ないがトラックを見かけるようになった。そもそも、大手スーパーの多くでは31日の大晦日まで店を開け、元旦から“初売り”として店を開けている。中小のスーパーでは“働き手不足”やそれにより、交代休では満足に休みがとれないということもあり、元旦から2日や3日まで定休日にするところも出ているが、大型ショッピングモールほど元旦から営業している。街なかからどんどん正月の風景が消えていこうとしている。 クルマ絡みでは、正月飾りをつけたクルマもめっきり見かけることがなくなった。いまどきはフロントセンターのエンブレムがセンサーになっていたり、ボンネットを開けるとフロントグリル部にカバーがついているなど、設計上かなり無茶をしないと装着できなくなっていることもあるが、激減しているのも無理はないと考えている。
公共交通機関が稼働しなくなる日がくる!?
世の中が正月気分でうかれていても、バスやタクシー事業者は年中無休で稼働している。公共交通機関としては当たり前だとする人もいるだろうが、報道では働き手不足から路線バスで日曜日を全面運休にしようといった動きも出ているので、長い目で見れば年末・年始はライドシェアぐらいしか稼働しなくなる日も覚悟したほうがいいかもしれない。 このような事態になる前に、自動運転技術が追いつくか、という話がいつも出てくるが果たしてバスやタクシーの自動運転化が最善の解決策なのだろうか。 「年末・年始関係なく働くので、よほど計画的に大掃除とかしない限りは、ほぼ日常生活のまま正月を迎えることになる」とは、かつてタクシー業界に従事していた関係者。とはいっても元旦は結構な人数の運転士が有給休暇を取得するとも聞いている。さすがに平時に比べれば利用者が圧倒的に少ないこともあるようだ(とくに夜間は目立って需要が減るようだ)。そのため、元旦に乗務する時には、みかんや弁当などを配る事業者もあるとも聞いている。そのうち「昔はお正月も路線バスやタクシーを利用できたよね」ということになるかもしれない。 かつては2日から営業していた新車ディーラーでも、いまでは4日から営業していると「店を開けるのが早いなぁ」となっている。とにかく働き手がいないことがまず大きな原因となるのだが、それとリンクした働き方改革というものも大きい。 だからといって、お正月はマイカーで動きましょうとすれば、ハイブリッドも含め内燃機関車がほとんどを占める日本では(発電も化石燃料の割合が多いのでBEV[バッテリー電気自動車]でもゼロエミッションとは言い切れない)、CO2排出量や化石燃料の消費量増加を気にする人の声が大きくなりそうな気がする。 前述したトラック輸送にしても、時間外労働の規制強化と働き手不足があるので、元旦からトラックを動かすことは今後困難になるかもしれない。 未来の日本のお正月は満足に出かけることができなくなり、こたつでミカンとおせち料理を食べてノンビリ過ごすのがスタンダードになるかもしれない。
小林敦志