野生生物の持ち出し60件 シロアゴガエル侵入警戒 奄美大島
奄美群島希少野生生物保護対策協議会(会長・川瀨翼県自然保護課長)の奄美大島地区の2024年度会合が2日、鹿児島県の奄美市役所であった。環境省、県、島内5市町村などから約40人が出席。規制対象外の野生生物の島外持ち出しが23年度に60件あったことや、徳之島で生息地の拡大が問題となっている特定外来生物シロアゴガエルの奄美大島への侵入監視などについて協議し、奄美の生態系を守るために関係者が連携・協力することを申し合わせた。 会では各機関から取り組み状況の報告があったほか、環境省から提示があった▽外来種対策▽密猟・盗掘防止対策▽ロードキル(交通事故死)対策に関する会議設置―について協議。 外来種対策ではシロアゴガエルが「いつ奄美大島や他の島に侵入してもおかしくない」として、侵入監視や侵入初期に向けた連携や協力を今後の検討課題とした。環境省は、18年4月の捕獲以来6年以上捕獲がない状態が続くマングースについて、9月に予定している関係機関や有識者との検討会を経て根絶宣言を行う見込みと報告した。 密猟・盗掘対策では、県の希少野生動植物保護条例で採取を禁じているカクチョウランなどの違法採取事案を共有。昨年度に60件確認された島外への野生生物の持ち出しについては、いずれも規制対象種ではなかったが、将来的に生態系に影響を及ぼす可能性があるとして、一般種も含めた対策の必要性を共有した。 国の特別天然記念物アマミノクロウサギなどのロードキル問題に関連して、関係機関の情報を集約し目標設定や対策を協議する専門部会「ロードキル対策部会(仮称)」設置の提案が環境省からあり、設置する方向性が決まった。 出席者からは「確認できている野生生物の持ち出しは氷山の一角」という指摘や、有害鳥獣被害対策のわなに目的外である希少野生生物が捕獲される「錯誤捕獲」の実態把握を求める声などが上がった。 閉会後は奄美市笠利町の奄美空港で、昆虫採集のマナー向上や、夜間の運転注意を呼び掛ける啓発チラシを来島者に配った。