<城が語る>UAEを翻弄したハリルJロンドン世代のスピードとベテランの融合
キーパーにはフランスの所属クラブで、ほとんど出場機会のない川島を起用して、キャプテンマークを巻いた吉田との連携を深め、ディフェンスを代表経験の豊富なベテランで固めた。長谷部が抜けた後のチームの精神的支柱の役割を2人に託したのかもしれないが、川島は前半20分にマブフートと1対1となったピンチで冷静にコースを読み、足でスーパーセーブした。今後に向けて彼自身の自信にもつながったのではないか。 左のサイドバックの長友もオーバーラップを控えて守備に徹した。右のサイドバックの酒井が上がるケースが多く、実際、先制点は、右サイドを攻め上がった酒井が香川から出たボールをディフェンスの裏をとった久保へのスルーパスから生まれている。長友も所属クラブでの出場機会が少ないため安定を求めたのかもしれないが、結果的に、バランスを取れて、これまで代表チームの弱点だった両サイドバックの裏のスペースを、この試合では十分にケアできることになった。 ハリルホジッチ監督としては、今後も、この先発メンバーを試したいのだと思う。このスタイルを突き詰めていく方向性は間違っていない。本田、岡崎は、よほどコンディションが上がってこない限り、UAE戦のように、相手や味方に疲れが見えたときに、そこをカバーするような起用法になってくるだろう。 確かにアウェーでの勝ち点3奪取は、一歩、ロシアへと近づいたのかもしれない。しかし、ワールドカップの最終予選は、1試合1試合変わるもので、まだ安心はできない。中東の地で見せたスピーディーなサッカーを確固たる日本のスタイルにするためにも、5日後のタイ戦が非常に重要になってくる。 (文責・城彰二/元日本代表FW)