新星・ニック・ダンラップに見るスウィングのトレンド。もっとも地面反力を活かせるのはダウンで「左脚に乗る」ではなく「左脚をボール方向に蹴る」【ゴルフメカニクス研究所 #6】
ダンラップのスウィング
アマチュアの選手ということでまだ映像が少ないのですが、SNSに投稿されている動画からダンラップ選手のスウィングを見てみます。 イマドキの若者らしく、完璧にダウンスウィングの両手の通り道を確保したヒップクリアが右足ベタ足で行われ、ヘッドの軌道を長く目標方向に維持しています。ショルダーターンが縦のプレーンで行われ、インパクトに向けて右肩が深く沈み込むスタイルも、PGAで必要なハイボールを打つための必須動作になっていることは以前にも紹介しました。 ダンラップは現在ブライアン・スピークマンというのコーチに見てもらっていますが、この方はマーク・ブラックバーンのもとでキャリアを積んでいます。 マーク・ブラックバーンは最新の米国ゴルフダイジェスト誌のベスト50指導者のランキングで、クリス・コモやショーン・フォーリーらをおさえて栄えある一位になっている人物です。PGAツアープロではマックス・ホーマやコリン・モリカワなどを指導しています。 そのブラックバーンがダンラップのスウィングのパワーの源について以下のように解説しています。
ダウンでは「左脚に乗る」ではなく「左脚をボール方向に蹴る」
ブラックバーンはTPI(Titleist Performance Institute)をはじめ最新のゴルフ理論に精通した指導者ですが、最も地面の反力を使える脚の使い方として、ダウンスウィングの初期に「左サイドに乗っていく」のではなく、「左脚で地面をボール方向に蹴る」動きを推奨しています。 この動作によってインパクトに向けて上半身の前傾が増加し、両手とクラブの通り道が完璧にキープされるということで、現代ゴルフでパワーを得る為に不可欠な動作であるとしています。確かに昨今ドラコン選手でもこの左脚の使い方をしている選手が多数派に思えます。
この動作と、一般に言われてきた、「ダウンスウィングで左脚に乗る」動作とどのような違いがあるかというと、ブラックバーンの言うように左脚をボール方向に蹴る動作を行うと、骨盤が目標方向にスライドしません。その結果左のヒップは、背中側および右足側に移動する形になります。 いわゆる「左脚に乗る」スタイルの選手で、私が即座に思いつくのはトミー・フリートウッド選手ですが、ダウンブローにボールを捉えるといった利点はあるものの、飛距離面では「左脚を蹴る」スタイルのほうが効率的だというわけです。 レッスンでも「左脚に乗る」「左の壁」といったことを意識されている方が多いのですが、その結果「つっこみ」が発生してインパクトが窮屈になってしまう場合があります。 確かにフリートウッドのようなインパクトの形も「カッコイイ」と思われる方が多いと思いますが、フリートウッドは骨盤を目標方向にスライドさせつつ、上半身は後方に(正確には上半身の右側屈を入れて)残しています。 しかしこれはかなりの筋力が必要な動作であり、アマチュアの場合は骨盤のスライドと同時に上半身や頭部も目標方向に流れてしまいがちです。加えて「左脚を蹴る」スタイルのほうが、膝や下半身への負担も少ないように思えますので、試してみる余地はあるはずです。 インパクトの直前に強く左足をボール方向に蹴る(左脚を伸ばす)と、右足に荷重が移動してインパクトの衝撃を右足で受け止めることになります。この一瞬右足に荷重が移動することで、フィニッシュで余裕を持って左足に乗り直せます。是非お試しください。
大庭可南太
【関連記事】
- 「ポスト松山」の久常涼、蟬川泰果をスタッツで解説【ゴルフメカニクス研究所 #5】
- PGAツアー中継でお馴染み、リアルタイムで弾道を可視化してくれるショット分析システム「ShotLink」がもたらしたゴルフ界への影響とは?【ゴルフメカニクス研究所 #4】
- 父タイガーを超えた!? 355Yをワンオンするチャーリー・ウッズの最新スウィングを徹底解説!
- “外ブラ御三家”の新作ドライバー。HS40m/s前後のアベレージゴルファーが打ちやすいのは「Qi10」、「G430MAX 10K」、「パラダイムAiスモーク」のどれ?【クラブ選びをクール解説!】
- テークバックからフォローまで、スウィングを支える重要な筋肉「大殿筋」のおすすめストレッチ【桑木志帆の快進撃をサポートするトレーナーが教える簡単ストレッチ】