DeNA・東「みんなが立たせてくれた最高の舞台」「今、ようやく報われた」日本Sの流れ変えた第3戦の復活星
「SMBC日本シリーズ2024、DeNA11-2ソフトバンク」(3日、横浜スタジアム) 【写真】うつろなんもんてじゃない まさかの光景にベンチで放心状態の小久保監督 「SMBC日本シリーズ2024」は3日、横浜スタジアムで第6戦を行い、DeNAが1998年以来26年ぶり3度目の日本一に輝いた。CSファーストSで左太もも裏の肉離れを負いながらも、今シリーズ第3戦に復帰して勝利したDeNA・東克樹投手(28)が、デイリースポーツに独占手記を寄せた。思わぬアクシデントに見舞われながらも華麗な“復活”を遂げた左腕が、ここまで明かさなかった思いを語った。 ◇ ◇ 日本シリーズは、みんなが立たせてくれた最高の舞台でした。本当に、本当によかった。まさか自分が肉離れをすると思っていなかったのが正直なところで…。大事なところで戦力になれない。申し訳ないという気持ちが今、ようやく報われたような気がします。 CSファーストS、ここからだっていう時のケガでした。投手なので肩、肘のケガは想像がつきます。それが走塁中の左太もも裏の肉離れ。どれくらいかかるのか、どれくらい投球に影響するのか。不安に襲われる時間が多かったです。何よりも、走ることへの怖さが芽生えてしまいました。 やる、とにかくやれることをやろう。負傷降板となった直後には筒香さんから「行ってこい」と背中を押され、治療院に向かう準備を始めました。電気治療に、はり治療。可能性を毎日探りながら、ファイナルSは仲間を信じて見つめました。突破が決まると、三浦監督からは「頼んだ」と。強く言ってもらったその言葉に、何としても応えたい。覚悟ができました。 正直なところ、回復度は80%。走ることへの不安は残していました。それでも、投げることに関しては100%。不安はなかったです。バント処理やベースカバー。投手としての仕事ですが、そうなったら仕方ない。何なら、そこに飛ばさなければいい。攻めのメンタルと割り切りで勝負のマウンドに上がりました。 下馬評的に優勢だったソフトバンク。それをひっくり返したいという思いだけでした。どれだけベイスターズがやれるか。見せつけてやりたいな、と。2敗した中で第3戦を迎え、ここで抑えたらスーパーヒーローになれる。不思議とプレッシャーはありませんでした。そんな中で起こったのが指笛問題ですね。 今、振り返ると本当に必死だったということです。絶対に抑えること、バトンをつなぐこと。1失点のままリリーフ陣につなぐことができたら、流れが非常に大きく変わる。もし集中力がそがれて失点したら、一生悔いが残るなと思って。だからもうあれは…言っちゃいましたね(苦笑い)。 「宮城の方が断然いいので」。試合後に、すごく話題になっていることを知りました(※注)。でも僕は、村上打撃コーチの言葉はその通りだと思っているんです。本当に参考にしている投手。昨年アームアングルを下げた時、ずっと映像を見たのも宮城投手です。3月のオープン戦かな。今年から100キロぐらいのスローカーブを投げ始めたのも、実は投げ方を宮城投手に聞いていたんですよ。 本当に、もう常々参考にしている投手。この日本シリーズで復帰する前も中16日と間隔が空いたので、イメージを湧かせるためにYouTubeで「宮城 投球」を検索しました。前日に見あさりましたね。とにかくいいイメージをつけようと。何とか7回1失点に抑えることができて、チームの期待に応えることができてよかったです。 昨年と大きく違うのは、今永さんの存在です。エースが抜け、責任は大きくなりました。でも僕の中ではやっぱりもう1年。3年やってもう一皮むけるんじゃないかなと思っています。「肉離れした人が普通100球投げれへんよ」。今永さんからの連絡に笑い、より一層来年に対する覚悟が強くなりました。 重責を感じる日々。最大の癒やしは娘ですね。いつも帰ったら「足は治ったの?」と、肉離れの箇所にチュッてしてくれます。それだけでパパは、とっても頑張れました。 ◆東 克樹(あずま・かつき)1995年11月29日生まれ、28歳。三重県出身。170センチ、80キロ。左投げ左打ち。投手。愛工大名電から立命大を経て2017年度ドラフト1位でDeNA入団。プロ初登板初先発は18年4月5日・阪神戦(横浜)で敗戦投手。23年に16勝で最多勝、最高勝率1回(・842)。24年は自身2度目の開幕投手で13勝4敗、防御率2・16。