2024年上半期ドラマ 魅力的だった女優は?
■當真あみ『さよならマエストロ ~父と私のアパッシオナート~』
2024年も間もなく上半期が終了。1月期、4月期に放送されたドラマも最終回を迎えた。ここでは上半期に放送されたドラマの中から、強い印象を与えてくれた女優たちを振り返る。 【写真】2024年上半期ドラマ「魅力的だった女優たち」美しくかわいいフォト特集 2024年1月からTBS系日曜劇場で放送された本作。西島秀俊ふんする音楽以外は“ポンコツ”と家族に笑われてしまう天才マエストロ・夏目俊平が、ある出来事によって確執が生まれてしまった芦田愛菜ふんする娘・響との関係を修復しようと懸命に努力する姿が描かれる。 本作で當真は、音楽に魅了され、未経験ながら指揮者を目指す女子高生・谷崎天音を演じた。天音は、廃団寸前のオーケストラが深刻な雰囲気になるなか、天真爛漫(らんまん)で音楽を純粋に愛する心で、大人たちに活力を与える存在だ。 求められるのは、いるだけで元気を与えられるようなキラキラとした輝き。そんな物語の役割を十二分に全うするような、當真の目の奥に宿る希望に満ちた輝きは、演技というよりも彼女の持つポテンシャルに起因するところは大きかった。その意味で“適役”だった。 一方で、物語後半で彼女のバックボーンが明らかになると、明るく元気で、ちょっとKY的な一面とは真逆の役割を与えられる。一つの物語のなかで見せる役の振れ幅を求められたが、當真は苦しい胸の内もしっかりと表現。音楽をやることに反対する父親に対してバイオリンを弾くシーンは、圧倒的な存在感だった。 當真自身、幼少期からバイオリンを習っていたというが、素人から始めて成長したという物語上の成長を見事に表現していた。現在17歳にして、大河ドラマ、日曜劇場で印象に残る役を演じるなど、すでに実力派若手女優として高い評価を得ている當真。今後さらに「楽しみだ」と思わせるような演技だった。
■奈緒『春になったら』
2024年1月期にカンテレ・フジテレビ系で放送された本作。木梨憲武演じる椎名雅彦は、妻を病気で亡くし、幼少期の一人娘・瞳を男手一つで育てているが、膵臓がんにより、余命3ヵ月を宣告される。残されたわずかな時間のなか、瞳とどういう人生を過ごすか…という3ヵ月が描かれる。 奈緒が演じるのは雅彦の娘・瞳。第1話から「余命3ヵ月」というリミットがあるなか、ただのメロドラマにならないように、瞳は喜怒哀楽を存分に表現し、父親に“生きる”希望を与える存在だ。 とにかく瞳という役が難しいのは、ゴールが見えていること。最後には父親が死んでしまうという、最も悲しい展開に向かっていく役。湿っぽくなりすぎてもいけない、明るくなりすぎてもいけない。感情移入させるためには、とにかくリアルが要求される。“やりすぎ”ては白けてしまうのだ。 そんな中、奈緒はドキュメンタリーを観ているかのような生々しさで瞳を表現する。希望が見い出せないなか、ささやかなポジティブを丁寧に紡いでいく奈緒の演技は、物語に説得力と温かさを伝えてくれていた。