“メンヘラ女子”は日本だけ?日本と海外の「メンタルヘルス」事情
ネットから生まれた「メンヘラ」という言葉。最近では、「メンヘラ女子」「メンヘラ男子」などと、偏見を含むような使い方も目立ちます。 【画像】メンタルヘルスを整えるアイデアまとめ そこで今回、改めて「メンヘラ」という言葉について考えてみようと、メンタルヘルスと社会問題をテーマに情報発信を続ける、インディペンデント・メディア「Blossom The Project」を立ち上げた中川・ホフマン・愛さんと、精神科医の藤野智哉先生にインタビュー。 日本と海外のメンタルヘルスの考え方の違いや、メンタルヘルスと社会問題のつながりについてお話しいただきました!
日本と海外でどう違う?「メンヘラ」のとらえ方、「メンタルヘルス」との向き合い方
――Instagramでの発信を中心としたメディア「Blossom The Project」では、メンタルヘルスと社会問題をテーマに発信をしていますが、そもそも中川さんがメンタルヘルスに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか? 中川 私自身が17歳のときに、うつ病になったことが大きかったと思います。当時、私の母は、パニック症状や不安症状が出たりしていた私に対して「思い込みすぎだよ」「繊細すぎるんだよ」などと、あまり深刻に受け止めていませんでした。私も自分のメンタルの状態を表現できるような言葉を知らなかったし、そう言われるたびに「私は弱いんだ」とどんどん自分を責めてしまうようになって。弱い自分は恥ずかしい、隠さなくちゃ、という思いもあったと思います。でもそんなある日、突然ベッドから起き上がれなくなってしまったんです。 藤野 日本はメンタルに問題を抱えていることを隠すような風潮が強いですよね。実際、日本では精神疾患を抱える人が400万人を超えているのですが、これは割合でいうと約30人に1人。学校や会社であればクラスや部署に1人か2人はいるはずなのに、身のまわりにそんな人がいる感じは全然しない。それは当事者がまわりに隠しているからなんです。その背景にはやはり、精神疾患に対する偏見が根強くあると感じます。 ――藤野先生は、SNSを通じて精神科医としての知見を発信されていますが、それにはどんな想いがあるのでしょうか? 藤野 こうした日本の状況のなかで、精神疾患や精神科について、またメンタルヘルスについて、もう少し自分事として知ってほしいという思いがあります。正しい知識が広がっていけば、偏見も減らしていけるはずですから。 中川 当時は私自身も、精神疾患や精神科に対して偏見があったと思います。不登校になってようやく母が「精神科に行ってみよう」と病院へ連れて行ってくれたのですが、「私、病気なの?」と、すごく不安でした。でも、そこで初めてうつ病だと診断されて、正直ホッとしたんです。私の今まで感じてきたつらさに名前が付いて、自分を責めないでよくなったというか。 藤野 そういう患者さんはとても多いんですよ。症状に名前が付くことによって、「病気だったんだ」と安心するんです。ただ、これにはよし悪しがあって、例えば「メンヘラ」や「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」など、ネットで見かけたフワッとした言葉に「自分はこれなんだ」と勝手に決めつけてしまう人も多い。こうした言葉が流行ることによって、メンタルの問題が軽くとらえられてしまったり、言葉に当てはめた症状の裏側に精神疾患が隠れていたとしても、見逃されてしまったりする可能性があります。