能登地震からナメコ復活へ 瓶撤去など支援に感謝 生産量日本一新潟・十日町市
元日の能登半島地震で被災した十日町市松之山地区のナメコ工場が9月から、出荷量を地震発生前の水準まで戻した。JA魚沼管内のナメコ生産量は毎年5100トンと全国1位で、ほとんどをJA出荷が占める。JA職員と関係機関が支援し、需要期となる秋の再開にこぎ着けた。生産者は「全国の消費者に感謝を込めておいしいナメコを届けたい」と意気込む。 【写真で見る】能登地震被災直後のナメコ工場 同地区では、震度5弱の地震を観測。二つの大規模工場で栽培用の瓶約300万本のうち、35万本が棚から落下した。適正な培養期間を過ぎてしまった栽培瓶約120万本を含め、ほぼ全量を廃棄せざるを得ない状態となるなど、大きな被害を受けた。 落下した栽培瓶の撤去・廃棄作業には2週間かかった他、約半年間、ナメコの出荷を停止。両工場でしか出荷できない商品として提供する、瓶から手でもぎ取って梱包(こんぽう)した「株とり」のナメコも一時ストップした。自動化の工場ではセンサー一つの不具合で稼働が難しくなるなど、多くの課題を抱えた。 ゆきぐに森林組合の工場は5月下旬から出荷を再開できたが「(有)松之山きのこ」の工場は9月の再開となった。 松之山きのこ社長の高橋隆幸JAなめこ部会長は「多くの人から協力や応援があり、生産者は感謝している。おいしいナメコを食卓に届けたい」と思いを述べる。 JAきのこ集出荷場の勝又隆行課長は「全国の消費者にナメコが届けられず歯がゆい思いがあった」と供給側の思いを語り、「関係機関が団結して再開できた。応援の意味を込めて味わってほしい」と話す。
日本農業新聞