佐野勇斗のどんな役でも滲み出る優しさの正体とは? 役者としての美点を解説。ドラマ『マイダイアリー』第6話考察レビュー
毎週日曜夜10時より放送中のドラマ『マイダイアリー』。本作は、清原果耶が演じる、社会人になった主人公・恩村優希が、大学時代を振り返り、何気ない日常や仲間との繋がりをノスタルジックに紡いでいくヒューマンドラマ。さっそく、第6話のレビューをお届けする。(文・西田梨紗)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】佐野勇斗の役者としての美点とは…? 貴重な未公開カットはこちら。ドラマ『マイダイアリー』劇中カット一覧
教師として働きはじめた優希(清原果耶)の心の格闘
『マイダイアリー』(ABCテレビ・テレビ朝日系列)6話では言葉は真実かどうかわからないときもあるが、手には気持ちがストレートに表れることを改めて感じた。家族には嘘をついて母の遺骨を部屋に置いていた優希(清原果耶)の心の格闘がテーマになっていた。 第6話の冒頭では、優希が高校で教師として働く姿が描かれていた。女子生徒から喧嘩した彼氏が送ってきたハンドサインの謎を解いてほしいと相談され、優希は彼氏のケンカ後の心の格闘や謝罪したいという思いが手に込められていると解釈する。生徒からの「先生 やばっ なんで わかったの?」という質問に、「手には 色んな感情があるって 教えてくれた人がいたからかな」と答えた。 視聴者から見ても優希は控えめであり、自分の気持ちを人に伝えるのが苦手そうだ。彼女は優しすぎて、他人のことを考えすぎてしまうがゆえに、思いを言葉にするのが苦手なのだろう。優希のように相手に伝えたい言葉があるのに、結局なにも言えない人は少なくないような気がする。 相手への心配、相手への愛、相手への申し訳なさなどを言葉で伝えるのは勇気がいるし、相手の反応も少し怖い。それに、相手を前にして、自分の気持ちをとっさに言語化するのはむずかしい。
気持ちを雄弁に伝える手の働き
社会で生きていると“言葉にしないと伝わらない”といわれることは多いし、“相手に対して自分の気持ちを言葉で伝えてみるように”と助言されることは少なくない。しかし、「目は口ほどに物を言う」という諺があるように、口だけが自分の思いを伝えられる身体の部分ではない。また、「口がうまい」という慣用句には話上手という良い意味もあるが、欺瞞的な側面も含んでいる。 広海(佐野勇斗)は「僕は 手って 口と同じくらい 言葉を持ってると思う 手を振れば またねって 誰かの手を握れば ここにいるよ 大丈夫だよって気持ちが 伝わると思う たとえ 言葉にできなかったとしても」と、優希から病の母になんにも言えなかった過去を打ち明けられると返していた。 広海がいうように、手をにぎられると大丈夫だよっていう気持ちになるし、ひとりじゃないと安心できることがある。あなたは大丈夫だよって言葉巧みに説明されるときよりも。 優希が手元においていた母の遺骨を海に撒くときも、彼女の背中を押したのは広海、虎之介(望月歩)、愛莉(見上愛)、まひる(吉川愛)の手だった。 また、拓郎(平山浩行)や優見(菅野莉央)は優希の心の格闘も母や自分たちへの愛情も家族として感じ取っているからこそ、あたたかくそっと見守っていた。すこし離れた場所からあたたかいまなざしで見守るのも愛情表現の1つである。