フェラーリじゃなくとも「ディーノ」の億超えはもはや当然!? 150台しか生産されなかった「206GT」は「跳ね馬」がつかなくても立派なコレクターズアイテムです
ディーノ 206GTの価格高騰はどこまで、いつまで続くのか?
ドイツの自動車エンスージアストの楽園「モーターワールド・ミュンヘン」において、2024年11月23日にRMサザビーズ欧州本社が開催した「Munich 2024」オークションでは、素晴らしい施設にふさわしいクラシックカーやコレクターズカーが数多く出品されました。今回はその中から、自動車史に冠たるスポーツカーの傑作、ディーノGTのファーストモデルにして、もっともレアな市販版ディーノである「206GT」を紹介します。 【画像】銀→赤→銀とカラーを変えた極上の ディーノ「206GT」を見る(全35枚)
スポーツカー愛好家の憧れ、ディーノ 206GTとは?
フェラーリとしては初となる市販ミドシップスポーツにして、フェラーリ史上屈指の名作とも称されるディーノGTシリーズは、1967年11月のトリノ・ショーにおけるピニンファリーナ社ブースにてショーデビューし、1968年から生産が開始された「206GT」に端を発する。 ディーノ 206GTはフェラーリが設計・開発し、フィアットで生産される「ティーポ135B」65度V型6気筒4カムシャフト・1986ccのエンジンを、ピニンファリーナのデザインによる総アルミニウム製ボディのリアミッドに搭載したミドル級スーパースポーツ。 この時代のロードゴーイングスポーツカーの常識を超えた驚くべきハンドリングに、芸術的とも称されるエレガントかつ美しいスタイリングで、当時のスポーツカーファンたちに大きな衝撃を与えたという。 また1969年に発売されたディーノGTの量産型、ビジネス面での本命ともいうべき「246GT」よりもエンジンの排気量は400cc以上小さいものの、そのブロックは246GTの鋳鉄製に対してアルミ合金製とされていたほか、ボディも総アルミニウム製。ホイールベースも60mm短かった。
わずか150台しかないディーノ 206GT
つまり、実用性や生産性を向上させた246GTに対して、ミドシップ市販車の実験的要素、あるいはレース用エンジンのホモロゲーションモデルとしての要素もあったと推測される206GTは、結果として生産された台数も極めて少なく、わずか150台(ほかに152台説など諸説あり)にとどまったといわれる。 その後の246GT系はベルリネッタが2487台、GTSが1287台の合計3761台が作られたことと比較すると、206GTの生産台数は約25分の1。はるかにレアであることから、1990年代ごろから国際クラシックカー市場における相場価格にも大きな隔たりが発生するようになっていた。 その図式はいわゆるバブルが崩壊したのち、クラシックカーの国際マーケットが再び最高潮を迎えた2010年代中盤、あるいは現在においても変わることはないようで、同じくらいの条件の246GTに対して、206GTのマーケット相場は5割増し、時には2倍近い価格で取り引きされている市場の趨勢も相まって、今回の「Munich 2024」オークションにおける入札状況、そして落札価格についても注目が集まっていたのだ。