仲林圭が持つ大きくて新たな野望「パイレーツが昔のレアルみたいに銀河系軍団と言われたい」/麻雀・Mリーグ
プロ麻雀リーグ「Mリーグ」2023-24シーズンは、とにかくU-NEXT Piratesが勝ちまくった。レギュラーシーズンからファイナルシリーズまで1位を譲らず、史上初の完全優勝。チーム4人中3人が個人トップ5に入るのだから、圧勝も納得だ。「運がよかった」と振り返る仲林圭(協会)だが、オーソドックスなスタイルの麻雀とは裏腹に、チームに求めるイメージはワールドクラス。「パイレーツが昔のレアル・マドリードみたいに『銀河系軍団』と言われたい」と、世界的サッカークラブの異名を持ち出した。 【映像】カメラをガン見した理由を明かす仲林圭 ―チームは完全優勝を果たし、個人の成績もレギュラーシーズンだと+266.5という好成績。どういったシーズンだったか。 仲林圭(以下、仲林) 運が良かったという一年でしたね。僕と(鈴木)優さんだけでレギュラー・セミファイナルシリーズを含めて1000ポイント弱を稼いでいます。それで優勝できたというのが、いい一年だったんじゃないですかね。ですが、優さんがMVPを取って俺が取っていないので、それは悔しいなというところはあります。 ―随所に恵まれている、ついているというところはあったのか。 仲林 特に去年は、誰かがラスを取って帰ってきたら誰かがトップを取って、ポイントが1日であまり動かないというのが、すごく多かった。たぶん10月から1回もマイナスになっていないと思うんですよ。本当にそれはついていたな、という感じはありましたね。 ―やはり、1日で3着・4着、2ラスを引くと、次の試合までのムード的にも良くないものか。 仲林 ムードとか、そんなことを気にするような人が集まっているわけではないです。トップを取ったからといって、内容が良くなければ結構、お互いに戦ったり言い合ったりするチームです。ラスを引いた時に内容が良ければ「それはしょうがないよね」みたいな、そういう話をするチーム。それがいい循環なんでしょうね。 ―コミュニケーションは1年目から活発だったと思うが、2年目で深まったか。 仲林 1年目は僕と優さんが入りたてというのもあって、(小林)剛さんと瑞原(明奈)さんに思っていても、なかなか強くは言えない、みたいなことがありましたが、1年間で絆が深まりました。みんなで京都に行ったり、ご飯によく行ったので。そこで仲良くなって、お互いにバシバシ言えるようになったのが2年目に活きました。ケンカまではいきませんが、「俺は、こう」みたいなことをぶつけられるようになった。それが勝因ですかね。 ―いろいろな動画を見ても、呼び方に親密さが増している。自身としても距離の縮まりは感じているか。 仲林 ありますね。お互いにイジったりできるようになったので、いい循環になっていますね。 ―麻雀については恵まれていたこともありつつ、手応えを感じたシーンはあったのか。 仲林 1年目と2年目の違いに関しては、対戦相手の情報が入ったというのが、すごく大きいですね。相手の癖であったりとか、押し引きのバランスだったりとか。「こういう風に自分が打ったら、こういう風に相手方は出てくるよね」とか。そういう相手のデータが増えたことが良かったかな。打ち方に関しては、行くところは行く、行かないところは行かないというのは、今までの押し引きと変わってはいないです。 ―赤入り・一発があるMリーグのルール。大舞台でいつもと違う麻雀を打ってくるかもしれないというところを含めた、Mリーグ用のデータが揃ったということか。 仲林 揃ったな、という感じです。今年は新しく2人が入ってきたので。でも2人とも、よく麻雀を打つので、あまり変わらないかな、という感じがします。 ―浅井堂岐選手はどういう打ち手か。 仲林 ひと言で言うと荒いです。でも、逆に荒さがトップ取りの麻雀においては非常にいいんですよ。ハンマーを振り回すような麻雀で、一発当たればいい。そういう麻雀なので、怖さはありますよね。(鈴木)大介さんと近いタイプです。 ―竹内元太選手に関してはどうか。 仲林 小癪ですね。あんなにデカいのにドラをすぐ切ったり、1000点でアガったりとか、本当に小癪な麻雀です。すぐ降りるんですよ。すぐ降りるし、ギリギリまで行くし。ウザいですね。元太とは昔、一緒に働いていたんですよ。その時から「強いな」と思っています。 ―それぞれやりにくさが違う打ち手か。 仲林 チョロチョロする奴とハンマー振り回す奴と。うちのチームだと、優さんが矛で、僕が盾みたいな。相手のチームもやりづらいでしょうし、そんな感じに近いです。 ―鈴木優選手に関しては「MVPを取られて悔しかった」と。やはり仲間とはいえ目の前で取られると思うところはあるか。 仲林 取られた時は全く何も思いませんでした。普通にチームメイトが取れて嬉しいとしか感情はありませんでしたが、至るところに一緒にゲストで行くと「MVPの鈴木優です」と言うので、「うるせーな」と(笑)。という理由で俺も取りたいな、みたいな。 ―麻雀プロは自分が一番になりたいからやっている。 仲林 MVPはついていないと取れませんが、とはいえシーズン5連勝とか、「UK」では優の方が目立っている。僕はなんか、お笑いの方でしか目立っていない。カメラ目線とか。麻雀の部分で見られていきたいです。 ―いい意味でのチーム内競争も含めて、今年の目標で設定されているものはあるのか。 仲林 シンプルに連覇ですね。それ以外に興味はないです。 ―連覇をする上で、自分が果たす役割、ポジションにイメージはあるのか。 仲林 僕に求められているものは安定感。監督が出しても、チームメイトも、ファンの人たちも僕が出たら「今日はプラスを持って帰ってくるな」という安定感を売りにしているので、その安定感という部分を、自分らしく当たり前を当たり前に打っていく、ということを意識したいですね。それで結果が付いてくれば最高です。 ―監督に「行って」と言われる立場の中で、どこまで言葉のフォローがあるかは分からないが、「そういうのを求められて、このタイミングで出されているな」と感じる部分はあるのか。 仲林 大勝ちしたいという時に出されるタイプではなくて、どちらかと言えば「ポイントを減らさずに、運が良ければトップを取ってきてください」みたいな、ラスの回避で出されているイメージが、たまにありますね。逆に、僕がラスを引いて帰ってきた時、次に連投で、朝にLINEが来ていて、「もう1回、行けるよな。お前、取り返して来い」と鼓舞してくれることもあります。その時はトップを取れたので、チャラにできて良かったと思います。 ―監督が「圧倒的に勝つ」を掲げて、2年目に達成した。新しいワードは出ていないと聞いているが、「こんなものを出してきそう」とかはあるか。 仲林 分かりませんが「連覇」じゃないですか、シンプルに。 ―その2文字以外はない。 仲林 ないと思いますね。まだ、他のチームもやったことがないですしね。パイレーツはサッカーだったら、昔のレアルマドリードみたいに「銀河系軍団」と言われるようになったらいいですね。 ―役割で決めると、誰役か。 仲林 当時のレアルだと、ジダンとか、それ系じゃないですか。派手なプレーもありますが、安定していますし。剛さんが守って、瑞ちゃんと優さんがゴールを決める。そんな感じです。 ―勝利した時のカメラ目線というファンサービスがあった。そこから、他のMリーガーも真似た。 仲林 誰もやっていなかったから、「1回、やってみたいな」と思っていたので、やりました。優さんは、娘さんが、俺がやっているのを見て「パパもやって」と言われたからやった。茅森さんは「やってよ」と言ったら、僕が解説に日にトップを取ったので、やってくれました。 ―前の対局でカメラを探したが見つからず、その時はカメラが見つかったから、やったそうだが。 仲林 カメラが見つかったというよりは、顔を映しているカメラはどれか、というのを剛さんと瑞原さんに教えてもらっていました。「さっき、なんでキョロキョロしていたの?」と聞かれて、「あれは、実はカメラ目線をやりたくてカメラを探していたんですよ」と言ったら、「カメラはこれだよ」と。「あ、本当だ」と気づいたので、やりました。 ―次のシーズンも、突発的に何かを思い出したら。 仲林 毎回やったら飽きてしまうので、ここぞという時にやりたいと思います。 ―両親がとても真面目で、麻雀をやることに反対していたと聞いた。昨シーズン優勝したことで、応援してもらえたか。 仲林 パイレーツと契約した時から、基本的には応援してもらっていますが、最終日に招待したんですよ。この前、家族で食事をしたんですよ、兄夫婦と甥っ子と、母親、親父と。その時に最終日の感想をいろいろと言ってくれました。「招待するって言われたから、雀荘に連れて行かれるものだと思っていた」そうで、「雀荘の後ろで見られる」と思っていたら、「あんなにすごい場所だったんだ」と。 正直、麻雀は分からないので、他の人たちが盛り上がるシーンでポカーンとする部分もありましたが、「こうやっていろいろな人に応援してもらえるのは、息子として誇らしい」と言ってもらえたので、良かったです。 甥っ子も友達が俺のファンらしくて「サインをください」と言われたり、兄の奥さんのお父さんが麻雀好きでパイレーツのファンになってくれたり。Mリーグが、麻雀が、家族をまた繋げてくれたな、と思います。 ◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。 (ABEMA/麻雀チャンネルより)
ABEMA TIMES編集部