「どんなに努力しても、社員と目標や価値観を一致させることはできない」年商2億円・地方起業家がたどり着いた“超ドライな考え方”
「地方には仕事がないはウソ」──そう語るのは、出身は岐阜県だが、高知県で全財産50万円を投じて起業し、年商2億円まで成長させた起業家、坂元陽祐氏。本連載は、坂元氏の著書『まったく新しい「地方で起業して成功と自由を手に入れる」方法』(春陽堂書店)より、地方での起業の可能性について、一部抜粋して紹介します。 都道府県「公務員の定年退職金」ランキング…<2022年・一般行政職>
社員とのコミュニケーションには必ず限界がある
性善説に深く納得する一方で、僕は人間の限界についてやや悲観的な考え方も持っている。社長をしているとよく聞かれるのが、こんなことだ。 「だんだんと会社が成長してきて、組織が大きくなっていく中で、社長が目指す会社の方向性を社員のみなさんに共有してもらうのは大変でしょう?」 おそらく、社員みんなに「会社のミッション」やら「会社の理念」やらを「共有」してもらうために、一人一人と密なコミュニケーションをとったり、さまざまな工夫をされているんでしょうねという含みがあって、こんなことを言うのだと思う。じつは、この点に関しては、僕はかなりドライに考えている。 どんなにコミュニケーションを努力しても、社員と目標や価値観を共有する、一致させるということはできない。また、そんなふうに他人を変えようとするのは傲慢でもある。僕自身、入った会社で「うちの方向性はこれだから、理解せよ」と命令されたら嫌だ。だから、会社の動きに一体感を出す、チームワークを高めるためには、最初から僕と同じ志を持った人、同じとは言わないまでも似た価値観を持った人を雇う、これしかないのだと思う。 僕の会社は地方の小さな会社で、求人をかけても100人集まるということはない。人手が足りないときには、応募してきた人は全部ほしいと思うこともある。それでも、これからの採用に関しては、今言ったような意味で、僕の会社と方向性や価値観をもともと共有できる人を選んでいこうと思っている。 逆に、その部分で相性が悪いならば、どんなに優秀な人でも力を発揮してもらうことはできないからだ。すでに会社に入っている人に関しては、こうした選別を必ずしも経ていない。だから、会社あるいは僕の考えとのズレがあるのは致し方ない。それでも働いてくれていることに感謝して、うまくやっていく努力をするしかない。その責任は当然、僕にあると思っている。 〈レッスン〉 社員にどうしても共有してほしい価値観、ビジョン、志といったものがあるなら、今のうちにしっかりと自覚しておこう。外に向けても発信できるように、言葉にして記録しておこう。
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