日銀「マイナス金利解除」は遅くても4月末か 専門家が解説
経済アナリストのジョセフ・クラフトが3月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。22ヵ月連続でマイナスとなった1月の実質賃金について解説した。
1月の実質賃金が0.6%減少、22ヵ月連続のマイナス
厚生労働省は3月7日、1月の毎月勤労統計調査を発表した。労働者1人当たりの平均賃金を示す現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比0.6%減で、22ヵ月連続のマイナスとなった。 飯田)名目賃金の方は2%増えたようですが。 クラフト)これは政権にとっても注目のデータです。春闘が3月に終わり、4月に賃上げするとなると今年(2024年)の夏、早ければ5月ぐらいにも実質賃金がプラスになります。政権としては4月の賃上げ、そして6月の減税で実質賃金がプラスに転換していけば、多少なりとも支持率が回復するのを期待しているのではないでしょうか。そうなると6月解散の可能性もあるので、この動向は政治にも重要な影響を及ぼします。さらに、金融政策への影響も非常に重要です。
物価が下がり、賃金が上がる好循環に入ってきている
飯田)今回、実質賃金が減少したとはいえ、ほぼ0に近い数字です。物価もマイルドになってきたところが大きいのですか? クラフト)1年前よりは物価がだいぶ下がってきたので、物価が下がり、賃金が上がるという好循環に入りつつある。いい傾向だと思います。
マイナス金利の解除はいつなのか
飯田)マイナス金利の解除についても、「今月(3月)か」というような報道も出てきました。 クラフト)欧米は利下げのタイミングを見極めながら躊躇しているなかで、インフレ圧力が高まっている。日本の場合だけ利上げですので、少しタイミングが早まってきているのです。
政府がデフレ脱却宣言をして、日銀がマイナス金利を解除する
クラフト)そして注目なのが、今週末に政府が23年ぶりに「デフレ脱却宣言」をするのではないかということです。
3回ある春闘協議のどの時点で政府が「デフレ脱却宣言」をするか
クラフト)先週末にそういう議論をしているという情報が流れました。2001年に、正式にデフレ宣言をしたのですが、未だにそれが解除されていません。日銀がマイナス金利を解除し、利上げに転じても、政府が正式に「未だデフレだ」と示せば矛盾することになります。だから足並みをそろえる意味で、政府がデフレ脱却宣言をし、日銀がマイナス金利を解除する。タイミングはほぼ3月か4月かというところで、植田総裁も「春闘の流れを見極めたい」と言っています。 飯田)そうですね。 クラフト)複雑なのが、春闘が協議を3回に分けていることです。1回目が3月15日。一方、日銀の政策会合は3月19日なので、可能性としては15日の経過を確認し、政府がそれを受けてデフレ脱却宣言をしたら、確実に19日に動く。あるいは、2回目の春闘である3月22日、また3回目の最終発表が4月4日なので、ここまで待つと4月26日の日銀決定会合までもつれ込むと思います。どちらに傾くのか、いま市場で注目されている。 飯田)連合は7日、賃上げ要求が5%を上回ったと発表しました。