無人航空機の飛行へ 川崎重工が災害での活用探る、和歌山・白浜空港拠点
航空機などを製造している川崎重工業(神戸市)は来月から、和歌山県白浜町の南紀白浜空港を拠点に、パイロットが乗らない無操縦者航空機を飛ばす。災害時などでの活用を想定した研究で、空港を運営する南紀白浜エアポート(白浜町)の協力の下、2027年まで飛行データを集め、運用方法などを探っていく。 【試験運行始まる 白浜空港連絡バス、和歌山県の記事はこちら】 同社は22年から無操縦者航空機用の設備建設や飛行許可申請などの準備を進めていた。飛行は月4回程度、平日の昼間約4時間、紀伊半島沖で行う。災害時の被害状況把握や救難捜索などの対応をはじめ、気象観測などさまざまな用途での活用の可能性や有用性を検証していく。 航空機は海外製で、大きさは長さ9・7メートル、幅16・6メートル、重さ約1・5トン。名前は「しらさぎ」。ガソリンエンジンを搭載。無線や衛星通信を使って遠隔操作する。 通常、パイロットが乗って操縦する航空機は、長時間の操縦に体力的な限界があるが、地上で操縦する「しらさぎ」は、パイロットが交代していくことで30時間以上、連続飛行が可能となる。 関西、神戸など近畿圏の主な空港は、海が近く低い場所が多いことから、南海トラフ巨大地震などの大地震が発生した際、津波で被害を受ける可能性がある。白浜空港は海抜89メートルに位置することから津波の心配がなく、防災上の重要な拠点となるとし、県の広域防災拠点に指定されている。この立地条件が、同社が研究地に選んだ要因になった。 川崎重工は25日、白浜空港で、期間中の飛行の無事故と無災害を祈り、安全祈願祭を営んだ。 神事に参列した同社航空宇宙システムカンパニー無人航空機システム設計部の大堀雅司部長は「(白浜空港を)無人機に関する一大拠点への発展に貢献できれば」と話した。
紀伊民報