中国と戦争になったら? 台湾ドラマ「零日攻撃」、来年放映へ
「中国人民解放軍の戦闘機が台湾近海で行方不明になる。台湾が戦争態勢に入る中、中国は海峡封鎖のため艦隊と軍用機を大量投入。台北の街は大混乱に陥る」――これは、台湾で来年放映予定のドラマ「零日攻撃 ZERO DAY」の筋書きだ。中国が台湾周辺で軍事活動を続ける中、台湾の住民に警鐘を鳴らす内容となっている。 来年公開予定の台湾ドラマ、「零日攻撃」。中国と戦争になった場合の混乱を台湾住民に見せる、前例のない作品だ。 台湾の映画製作者にとってこのテーマは、依然として神経質なもので、中国から間接的な検閲を受ける可能性もある。 全10話で、来年公開予定だが、7月に予告編が公開されており、長年「中国との戦争は起きない」と考えてきた台湾ですでに話題を呼んでいる。 近年、中国は軍事演習や模擬攻撃などで台湾への圧力を強めている。中国政府は、台湾を自国の領土だと主張しているが、台湾は否定している。 「零日攻撃」の予告編は、中国と台湾間の戦争が起きた場合のいくつかの想定シナリオを扱っている。世界的な金融崩壊、中国の潜入工作員の活動、そして台湾から避難しようとパニックに陥る住民が描かれている。 「自由がなければ、台湾は台湾ではない」。架空の台湾総統は、団結を呼び掛ける演説でこう述べ、中国に宣戦布告する。 だが中継映像は中断され、中国国営テレビの映像に変わる。キャスターは台湾住民に降伏を呼びかけ、「独立派活動家」の密告を要請する。 制作総指揮の鄭心媚氏は、台湾住民は「侵略など起こらない」と見ないふりをせず、侵略の恐怖に立ち向かうべきだと語った。 「このドラマを企画したのは、人々に考えてほしいと思ったからだ。 力や大金と引き換えに、自由を手放すのか? その誘惑に直面した時、台湾の人々はどちらを選ぶのか」 スタッフは資金調達、キャスティング、撮影場所の選定まで難しい課題に直面した。 鄭氏によると、クルーの半数。以上が名簿に名前を載せないよう希望。監督ら数名は、中国での将来の仕事や、中国で働く家族に危険が及ぶとの懸念から土壇場で手を引いた。 「タブーとされるテーマを扱ったこのドラマが人気を得ることを願う。 そうなれば、他のクリエイターが中国問題をあまり気にしなくて済むようになるかも」 多くの台湾のアーティストや芸能人にとって、中国の娯楽市場ははるかに大きく、利益率も高い。だが中国政府は、中国の政治理念に反する台湾の芸術家を非難したり、協力しない人をブラックリストに載せると圧力をかけている。