地元の味覚が楽しめる“役所メシの旅” ── 台東区役所「ぱんだかれー」
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「社員食堂」がある会社のように、市役所や区役所といったお役所にも食堂がある。うどん・そばやカレーといった定番メニューに加えて、地元の食材や名物グルメが味わえる食堂も。そんな地元の味が楽しめる役所の食堂を探訪する当連載企画。今回は、台東区役所本庁舎の地下1階にある職員食堂「チカショクさくら」で、このほど復活した「ぱんだかれー」を味わってきた。
日中両国の友好の証として、中国からオスの「カンカン」とメスの「ランラン」のジャイアントパンダ2頭が上野動物園にやってきたのは、1972年10月28日。同年の入園者数は前年を約100万人上回る約501万人に達するブームが訪れた。それから45年、上野動物園で赤ちゃんパンダ「シャンシャン(香香)」が生まれ、12月中旬の一般公開が期待されている。 2頭の来園当時、茨城県の小学生だった「チカショクさくら」店長の飯田武さん。「当時、テレビで(パンダを見にきた人の)行列を見て、一度見てみたいなと思いましたね。今じゃその上野で働いていますが」と笑う。「チカショクさくら」がある台東区役所は、JR上野駅を挟んで上野動物園の反対側に位置する。距離にして1キロメートルほどだ。 そんな飯田さんが作ったのが「ぱんだかれー」。一目見るだけで、これが「ぱんだかれー」だとわかる。パンダの顔型に盛られた白いご飯。目と耳、鼻が黒い食材で描かれている。ノリの佃煮だという。両手は、緑色が鮮やかなブロッコリーで表現されている。
食べるには、このかわいらしいパンダの顔を崩さねばならない。少しためらうが、写真と動画を一通り撮ったあと、意を決してスプーンを手に取る。カレールーをパンダの顔にかけて一口。比較的甘い味わいだが、ちゃんとスパイシーさも備わっている。 ルーには、小さく刻まれたニンジンやタマネギ、ズッキーニ、パプリカが含まれており、一さじで多様な食材の食感が楽しめる。ノリで作った目の部分にもルーをかけ、口にしてみた。ノリのうま味がこのカレーにマッチしているように感じる。ノリとルーは相性が良いのだろうか。 あっという間に完食。食べ終わった後、ほのかな辛味とうま味、香りといったスパイスの余韻が口の中に残る。