センバツ・札幌第一 第1部/上 出場決定までの軌跡 「つながり」更に強く 悔しさバネ「まず1勝」 /北海道
<第91回選抜高校野球> 2年ぶり3回目のセンバツに挑む札幌第一。昨秋の大会ではあと一歩で全道制覇を逃したが、思わぬ形で届いた春切符に、選手らは「まず全国1勝を」と力を込める。 ◇ ◇ 「グラウンドの土があんなに重く、冷たいとは思わなかった」。秋季道大会決勝で敗れ、試合後、「敗者」として球場を行進した大坪蓮弥選手(2年)はそう振り返った。高らかに掲げられた自分たちのものではない優勝旗を、ただ見つめることしかできなかった。 2年ぶりの優勝を目指し、臨んだ秋の大会のチームのテーマは「つながり」だった。大平裕人主将(同)は「打線や守備など一人一人が役割を自覚してつながる意識を持つこと。今年は1年生のレギュラーも多く、ベンチワークや練習でも、上級生が意識してカバーできるようなつながりを心がけた」と説明する。 しかし、決勝で後半までリードを保つも、八回表の攻撃は打線がわずか8球で交代。その裏、投手陣が崩れ、逆転されて敗退した。優勝を目前にした重圧もあり、チーム全体で「つながり」を発揮できず、相手に大きな流れを与えてしまった。 「甘さがあった」と大宮昂汰郎選手(同)は唇をかむ。「勝ち進むことでチームの『つながり』がうまくいっていると勘違いしていた」。大会後、練習ごとのミーティングで決勝での反省点が取り上げられ、選手たちは毎回、その悔しさを反すうしていた。 転機が訪れたのは11月。神宮大会で札幌大谷が優勝し、北海道にセンバツ出場で2枠が与えられ、一方の枠に札幌第一が選ばれる可能性が生まれた。マネジャーの飯沢航さん(同)は「練習でのみんなの顔つきが引き締まり、声ひとつをとっても張りが違った」。 1月25日に出場が決定すると、大平主将をはじめ、選手らは「(札幌大谷の活躍は)悔しい気持ちもあるがセンバツでは必ず結果を残す」と声をそろえた。 チームは今、ウエートトレーニングや走り込みなど基礎の体力作りから、大会に向けた実戦的な練習に移っている。菊池雄人監督は「選手がのびのびとプレーしつつ、しかし、1勝という結果にもこだわった試合をするためにあと2カ月を過ごしたい」と大舞台を見据えた。【澤俊太郎】