歌広場淳×アルランディス“異次元・格ゲーマー”対談 格闘ゲームとの「出会い」がもたらしたもの
ガイルというキャラクターと引き合わせてくれたリスナーからのコメント
歌広場淳:さまざまな巡り合わせもあって『スト6』にのめり込むことになったアルくんですが、ガイル使いのアルくんにとっては、“ガイル村”の存在も大きかったんじゃないでしょうか? アルランディス:そうですね! 僕がMASTERに上がる少し前のタイミングで、“ガイル村”の副村長と呼ばれているストリーマーのドンピシャさんに「ガイルを教えてください!」とお願いしたら、快く引き受けてくださったんです。 その後も、村長にしてドンピシャさんの師匠でもあるプロゲーマーの、ひぐちさんにもガイルのことを詳しく教えていただいたので、すごく勉強になりましたし、モチベーションもめちゃくちゃ上がりましたね。 歌広場淳:そのあたりの使い手同士の結束力の強さも、ガイルの魅力なのかもしれないですよね。ポテンシャルが高いわりに意外と使用人口が少ないから、横のつながりが自然と生まれやすいキャラクターな気がするので。 アルランディス:そういう意味でも本当に運がよかったなと思っています。僕が『スト6』を始めるにあたって最初に選んだキャラクターって、実はディージェイだったんですよ。 ただ、僕がディージェイを使ってやっていたことといえば、弾を撃って飛んできた相手を対空技で落とすという、いわゆる“待ち”のプレイスタイルでした。当時はその戦法を“待ち”ということすら知らず、単にそれでしかダメージを取れないからやっていたわけなんですが……。 そんな僕の試合を見ていたリスナーの方が、あるときコメントで「それってガイルの戦い方だよ」って教えてくれて。「なるほど、僕のこのプレイスタイルにはディージェイよりガイルのほうが合っているなら、ガイルを使ってみよう」とキャラを乗り換えることにしたんです。 歌広場淳:そうなると、そのコメントがアルくんの運命を変えたと言っても過言じゃないですよね。 アルランディス:いや、本当にあのコメントには感謝していますね。実際、ディージェイとガイルを比較してみたら、ディージェイの対空技である「ジャックナイフマキシマム」より、ガイルの「サマーソルトキック」のほうが、ダメージが200(※3)だけ高いことに気付いて。 ※3……『スト6』におけるキャラクターの総体力は、最低値の豪鬼で9000、最大値のザンギエフで11000。 「それだったらガイルのほうがお得じゃん」って、本当にそれだけの理由でガイルを使い始めたんですけど、まさかこんなうれしい未来が待っているとは思いませんでした。 歌広場淳:なにげないことがきっかけで、人生って変わるものですよね。ゴールデンボンバーの『女々しくて』がヒットしたのも、実は誰かがPVを某動画共有サイトに違法アップロードしてくれたおかげだったりしますし。 アルランディス:そうだったんですか!? ■格ゲーマーとの親交を深めるために始めた“50先企画” 歌広場淳:アルくんといえば、2023年9月には『UNDER NIGHT IN-BIRTH II Sys:Celes(アンダーナイト インヴァース II シスタセレス)』(※4)の公式アンバサダーに就任しましたよね。 ※4……フランスパンとアークシステムワークスが開発した2D格闘ゲーム。アルランディスと、おなじくホロスターズ所属の荒咬オウガが公式アンバサダーに就任した。 アルランディス:はい。本当にすごい大役をやらせていただいて。 歌広場淳:そんなふうに、この1年間で格ゲーを通してさまざまな人との出会いがあったと思うんですけど、そのなかでとくに印象深かった人や、今後もっと仲よくなりたいと思う人を挙げるとすれば? アルランディス:そうですね。みなさん本当にお優しくて、頼れる兄貴感のある人も多いので……。 歌広場淳:「頼れる兄貴感がある人」というと、誰の顔がアルくんの頭を過ったんでしょうか。 アルランディス:それはもちろん、こく兄ですよ! 僕、こく兄のこと大好きなので。 歌広場淳:あー、そうきたか……。ダメだよ、あんな人を好きになったら。アルくんはアイドルなんだからさ。イメージ的によくないよ。 アルランディス:いや、なんでこく兄に対してちょっと認めたくない感じ出すんですか(笑)。こく兄ってガチガチの理論派プレイヤーだと思うので、そういうところもカッコイイなって思うんですよね。 歌広場淳:まあ正直そのとおりですね。実は非常に論理的な考え方を持っている人です。 アルランディス:あと、立川さんとももっと仲よくなりたいなと思っています。立川さんは、エンタメチックにおもしろおかしいやり取りをしてくださりつつ、僕が上達するための道筋みたいなものをポロッと示してくれるようなところが素敵だなと。 歌広場淳:タチ(立川)はコミュニケーション能力が高いし、持ち前の言語化能力の高さを活かしたコーチングにも定評があるプロプレイヤーですね。 アルランディス:そうですよね。ただ、なかなかそういった方々と腰を据えてお話をできるような機会がないので……。 歌広場淳:ああ、だから最近アルくんは50先企画を始めたってことなんでしょうか? アルランディス:そうです、そうです! さすが、読みが鋭いですね。50先企画を通じて、もっともっと格ゲーマーのみなさんと仲よくなれたらと思っています。 歌広場淳:第1回のお相手は、元FPSプロゲーマーで現ストリーマーのRobiNさんでしたよね。チラッと観に行ったら、ボコボコにやられていた気がするんですが。 アルランディス:おっしゃるとおり、1対50で負けました(苦笑)。RobiNさん自身も「いまの自分はFPSプレイヤーではなく格ゲーマー」っておっしゃっているくらいで、めちゃめちゃ強かったです。 ただ、50先企画は対戦相手の方とボイスチャットをつなぎながらの形式でやっているので、試合中に会話を交わすことができたり、煽り合いができるという意味では、ランクマッチともまた違う空気感があって楽しかったですね。 歌広場淳:煽り合いを楽しいと思えるのなら、アルくんも相当ディープな格ゲーマーですね……! アルランディス:ああいうプロレス、大好きなので。 歌広場淳:僕がVTuberの葛葉(にじさんじ所属)くんと煽り合いになったときは、マジでキレそうでしたからね(笑)。彼は本当に、一度わからせておかないとダメだ。どこかのタイミングで黙らせておかないと……! アルランディス:そんなブチギレ寸前の歌兄と、それを楽しそうに煽っている葛葉くんを見て、僕はニコニコしていました(笑)。 歌広場淳:アルくんもその場にいたもんね。50先企画の第2回のお相手はタチだったと思うんですけど、彼との戦績はどうでした? アルランディス:立川さんもエンターテイナー気質の方なので、数戦ごとにキャラ変えを挟みつつ、最終的には全キャラ使って相手をしてくれたのかな。それでも結局8対49くらいで僕が負け越すことになったんですが……そこまできて、立川さんが「これもう(プレイヤーが)俺じゃなくてもいいわ」なんて言い出して。 それで立川さんが、対戦ルームにホロライブの常闇トワさんというVTuberを連れてきまして。立川さんはいろいろな人に『スト6』のコーチングをしていて、常闇トワさんも立川さんから教えを受けているうちのひとりなわけなんですが。 歌広場淳:存じ上げております。タチが「トワ様」と崇敬している女性VTuberの方ですよね。 アルランディス:そうです。それで「あと1本ならトワ様でも取れるっしょ!」ということで、8対49の状況から急きょ立川さんに代わって僕とトワ様が対戦することになり。 僕としては立川さんの遊び心につけこんで、一気に42本取り返すつもりでいたのですが、フタを開けてみれば再開からわずか2試合目でトワ様に負けて50先に敗れるという。本当にわかりやすいお笑いみたいな結果に終わってしまいました(苦笑)。 ■「格ゲーと“出会えた”」 アルランディスの格ゲー観 歌広場淳:アルくんのお話を聞いていると、やはり『スト6』のモチベがものすごく高いんだなと感じます。きっとアルくんのファンの方々も、「ここまで格ゲーにハマるとは!」とビックリされているんじゃないでしょうか? アルランディス:それは実際にコメントでも言われましたね。「まさかアランがひとつのゲームにここまでハマることがあるなんて」って。 歌広場淳:配信でいろいろなゲームをやることでリスナーを楽しませてくれていたアルくんだからこそ、ひとつのゲームにのめり込んで、楽しんだり、悩んだり、アツくなったりする姿が新鮮に感じたってことなんでしょうね。 アルランディス:なかには「こういうアランは応援し甲斐がある」とまで言ってくださった方もいたりして、すごくうれしかったです! 歌広場淳:なによりうれしいコメントじゃないですか! これはモチベーションになるね。 アルランディス:それこそVTuberって、「このゲームジャンルが得意です」とか、「絵が描けます」とか、みなさんなにかしらの特徴、特色、“自分をひと言で表現できる強み”、みたいなものを持っているものなんですよ。 その点、僕は筋トレが好きだとか、人を集めてバラエティ企画みたいなことを考えるのが得意とか、DJ配信やってます、みたいなことはあったにしても、「どんなゲームが得意なの?」と聞かれたら答えに詰まるようなところがあって。 でも、これからは「格ゲーです!」って胸を張って言ってもいいんじゃないかなという気がしています。だから僕としては、格ゲーに、『スト6』に、“出会えた”って感覚があるんですよね。 それは、性格的に向いているゲームなのかもしれないという部分もそうですし、ここまでハマれたゲームだということもそうですし。格ゲーを通してのみなさんとの出会いや、“ガイル村”とのつながり、ガイルというキャラクターとの巡り合わせも含めて。“出会えた”んだなと。 歌広場淳:めちゃくちゃいい話……! 「格ゲー始めました」とか、「格ゲーの魅力に気付きました」という言葉は僕も最近よく耳にしてうれしい限りなんですが、「格ゲーと“出会えた”」と表現した人は間違いなくアルくんが初めてですね。 アルランディス:じゃあちょっと、いまのくだりは記事にするときに太字でお願いします(笑)。 ■アルランディス、「七味唐辛子の仕分け配信」の裏側を語る 歌広場淳:ふだんのアルくんをよく知るファンの方が、ライブで輝く姿や格ゲーに打ち込む姿を見て新たな一面に気付くのと逆のパターンで。きっと今後は、格ゲーをきっかけにアルくんに触れ、ふだんのアルくんの魅力に気付いていくという人も増えていくだろうね。 アルランディス:そうなってくれたらうれしいですね。自分で言うのもアレですけど、意外な一面だらけだと思いますし。僕、七味唐辛子を仕分ける配信とかもやっていたりするので。 歌広場淳:えっ? どういうこと? アルランディス:七味唐辛子って、7種類の材料がブレンドされていますよね。あれを、机の上にザッと出すじゃないですか。 歌広場淳:いや、出さないよ。……ごめん、わかった。出すってことでいいです。 アルランディス:はい。それでぶちまけた七味唐辛子のなかから、ピンセットで、「これは山椒」、「これは陳皮」とか言いながら、ただただ仕分けしていく配信をしたりしているんです。あれは作業完了までに12時間くらいかかりましたね。 歌広場淳:「なんでそんなことをするの?」って聞いてもいいのかな。 アルランディス:あ、はい。そこに七味があったからですね。 歌広場淳:……要するにアルくんは、「なんでもおもしろくしよう」、「おもしろおかしくやってみよう」という精神にあふれているって解釈でいいんでしょうか。 アルランディス:ほかにも、驚くたびに飲酒するホラーゲーム配信とか……。 歌広場淳:それ絶対、最終的にべろんべろんになるやつでしょ。 アルランディス:もうグビグビですね。毎回、後で配信のアーカイブとか切り抜き動画とかを見て、「僕、こんなこと言った覚えがないです」と真顔になるまでがセットです。 歌広場淳:大手事務所に所属しているわけだけど、越えちゃいけないラインとかあるんじゃないの? 本当に大丈夫? アルランディス:これがですね、許してくれているんですよ。さすが懐が深い! ありがとうカバー!!(※5) ※5……カバー株式会社。「ホロライブ」や「ホロスターズ」などを擁するVTuber事務所「ホロライブ プロダクション」の運営などを手掛ける、ITエンターテインメント企業。 歌広場淳:きっと、アルくんの人柄もあるんだろうな……。 アルランディス:これからも、僕のいろいろな一面を皆さんにお見せしていきたいですね!
取材=片村光博/構成=山本雄太郎