ゴジラ新作で「山崎貴監督」続投が決定! 大ヒット「-1.0」のアカデミー賞獲得に「メイキング映像がひと役買った」とされる理由
世界のゴジラファンに向けて
「VFXは『実際に撮影した映像』を利用した上で加工をしますが、撮影していないものを一から作り出すためにはCGを利用します。この併用で、まるで軍艦が海上でゴジラと戦っているようなリアルなシーンが撮影できました。ハリウッド超大作なら、実際に軍艦を並べてバンバン砲弾を撃ち合っていてもおかしくなかったはず。しかし、それを技術でやってしまうのが山崎監督です。例えば、小栗旬のハリウッドデビュー作となった『ゴジラvsコング』(21年)の製作費は約300億円と言われています。キングコングやメカゴジラまで投入し、迫力のあるバトルシーンを展開していますが、金をかけたら当たり前のクオリティーです。ゴジラのフォルムも、足が長くて日本人好みじゃないし、ストーリー自体、深く考えさせられるような内容でもないので、国内の興収は19億円にとどまってしまいました」(同前) 「ゴジラ」シリーズの前作「シン・ゴジラ」(16年、庵野秀明脚本・総監督、樋口真嗣監督)は興収82.5億円を記録し、国内の映画賞を総なめしていただけに、シリーズの監督としてのバトンを引き継いだ山崎監督は相当のプレッシャーを背負うことになったはずだが、東宝作品ではこれまで多大な実績があった。 「今年で監督デビュー25周年となる山崎監督は、VFXで昭和30年代の町並みを再現した『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ3作を手がけ、合計興収約115億円を記録しています。そして、東宝の看板シリーズである『ドラえもん』を、3次元コンピュータグラフィックスでアニメ化した『STAND BY ME ドラえもん』(14年)が83.8億円の大ヒット、20年には続編も公開されました」(先の映画記者) 東宝には19年から「ゴジラルーム」という部署があり、ゴジラを国内外にPRすべく活動している。今後も世界にゴジラを発信するにあたり、もはや山崎監督のVFX技術なしには立ち向かえない状況だという。 「『ゴジラ』シリーズの国内版は04年の『ゴジラ FINAL WARS』以来、公開されていませんでした。しかし、14年に米の映画会社レジェンダリー・ピクチャーズ(L社)が製作したハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』が公開され、国内では興収32億円を記録。それを受け、うちもようやく本腰を入れ『シン・ゴジラ』がヒットしたのです。L社とは『国内版がうちの作品の公開年にかぶらないように』と取り決めができています。そのため東宝作品は海外でも公開されます。世界のファンの注目も浴びるわけですが、アカデミー受賞で脚光を浴び、世界でも受け入れられるとの確信から、山崎監督に新作を託したのです」(東宝関係者) イベントの最後に山崎監督は、「まだもうちょっとかかりますけど、新作ゴジラを、なんとか『-1.0』を乗り越えるようなゴジラ映画を作りたいと思ってがんばりますので、みなさん、楽しみに待っていてください!」と意気込んだ。 「日本の映画やドラマ分野では、予算が潤沢なNetflix、Disney+などの海外動画配信サービスの資金力に圧倒され、あっさりその“軍門”に下ってしまった感があります。日本が生み出したゴジラの命運を託されることになった山崎監督には、ハリウッドを驚愕させる技術力があります。今後は山崎監督に続く人材が次々に現れ、日本映画界を発展させてほしいものです」(先の映画記者)
新潮社