東京の治安を守る警察官の着用バッジ 警視庁・所属組織の結束、使命が込められた約40種類“デザイン”の魅力
【交通機動隊】
ヒーローものに通じるようなバッジは、交通機動隊が着用している。シルバーの外周は車輪を表し、中央には白バイ乗務員のシンボルといえる「ウイングマーク」、各中央機動隊、高速道路交通警察隊を識別する数字が配置されている。 交通機動隊は白バイやパトカーで違反取り締まりや交通指導を行う運転のスペシャリスト。箱根駅伝で、ランナーを先導する姿はおなじみだが、その他、交通整理、イベントの先導なども行っている。
【少年事件課】
シンプルながら芸術性も感じられる記章は少年事件課のもの。2003年1月に制定された。 デザインは課員から公募した。中央上部の楕円(だえん)形が、成長過程の未成年の心を表し、二股の白い線は、不完全な円を正円に近づけるよう包み込むような努力を表現したという。
【交通事件特別捜査員】
ひき逃げなどで招集される交通事件特別捜査員が、招集期間中常時着用するバッジ。どんな状況に遭遇しても、常に清新な気持ちと炎のような気概を持って捜査にあたり、事件解決へ向け、渾身(こんしん)の努力をすることをデザインに落とし込んだという。 STIは「S~Special(特別) T~Traffic(交通)I~Investigation(捜査)」。
【機動隊組長】
金メッキがまぶしく、「組長」の文字のインパクトが大きいバッジ。1963年5月に着用が開始された。デザインした人は不明という。 着用するのは機動隊の組長。機動隊は重要施設やデモ等の警備、災害時の対応にあたる。警視庁警察官服制規程の運用については(通達甲(総.装.装 3)第 5号 平成 6 年 3 月22 日)で、「機動隊の組長記章は、組長に任命された者が、隊章に代えて着装すること」と定められている。
【航空隊操縦士】
いぶし銀の羽が印象的なバッジは、航空隊の操縦士用だ。ヘリコプターでの災害救助や遭難者を捜索するシーンをニュースなどでみたこともあるだろう。あの操縦士が装着している。1968年7月に制定された。
【手話バッジ】
愛らしいキャラクターが前面に出たデザインのバッジは、身分とは関係なく、手話を必要とする人が判別できるようにするためもので、あえて装着して示すことはない。警視庁が実施する手話技能検定2級以上の級位を認められた者に交付される。デザインは(財)全日本ろうあ連盟が定めた。
時代とともに増減したバッジは現在、全部で約40種類
今回紹介したのは8つのバッジだが、全部で警視庁には約40種類のバッジがある。組織改編などで統廃合が行われるなどで、その数は増減する。 たとえば、サイバー犯罪は、150年の歴史の中で当初はなかった犯罪であり、捜査をより徹底するために新設された。 時代の変化とともに、犯罪が複雑化し、治安維持に求められる要素も多様で高度化している。そうした中で、より捜査の質を高めるために組織も臨機応変に進化を遂げていく。 各警察バッジは多様化する組織にあって、メンバーの団結心を高めるもの。また、その誕生の経緯や変遷をたどり、警視庁の詳細な構成を知ることができるアイテムでもある。
弁護士JP編集部