ナダルの後継者、世界3位のアルカラスが全仏初優勝 最年少21歳で4大大会3つすべてのコートを制覇
◆テニス ▽全仏オープン 第15日(9日、パリ・ローランギャロス) 【パリ9日=吉松忠弘】男子シングルス決勝で、世界ランキング3位のカルロス・アルカラス=スペイン=が、全仏初優勝を遂げた。同4位で4大大会自身初優勝を狙ったアレクサンダー・ズベレフ=ドイツ=を、6-3、2-6、5-7、6-1、6-2の4時間19分の末に下し4大大会通算3勝目。21歳は、2022年全米のハード、2023年ウィンブルドンの芝、今回の赤土と、4大大会3つすべての種類のコートを制した最年少となった。 マッチポイントで、ズベレフのショットがネットにかかる前に、すでにアルカラスはコート上に倒れ込んでいた。「ここで優勝するのが、テニスを始めたときからの夢だった。信じられない」。赤土に仰向けで、ガッツポーズを繰り出した。 第3セット5-2リードから、突然、ズベレフに反撃を許した。5ゲームを連続で失い、セットを落とした。「準決勝で足を痛め、第3セットぐらいから少し違和感を感じていた」。しかし、セット1-2の劣勢を、第4セットから一気にギアを上げ逆転に成功。4時間超えの激戦で自身初の優勝にひた走った。 赤土の王者と言われ、全仏最多5連覇を含む14回の優勝を誇ったラファエル・ナダル=スペイン=が1回戦で敗退。今年限りでの引退を示唆する中、スペインの若き後継者が、その系譜を受け継いだ。「多くのスペイン選手が優勝してきた」。1968年オープン化(プロ解禁)以来、スペイン選手の優勝は7人目となった。 先月から、右腕の故障などに悩まされた。「プレーできるかどうか不安しかなかった。全仏に入っても、ちゃんとした練習ができなかった」。しかし、チームのトレーナーらの「信じられない仕事」で、優勝までつかみ取った。 21歳の若さで、4大大会すべてのコートを制した。過去にフェデラー、ナダル、ジョコビッチら6人しか達成していない偉業で、オールラウンドな戦士の証だ。「赤土で始めたが、大会はハードが多い。多くの練習を積んだ。やりたいのは攻撃的なテニスだから芝でも問題ない」。 この優勝で、10日に発表される最新世界ランキングで2位に復帰する。22歳で初の1位となるヤニク・シナー=イタリア=とともに、世界の男子テニス界は、完全に世代交代を果たした。
報知新聞社