「離席が多くないですか?」と上司に言われたけど、一日に30分程度しか離席していません。給与から引かれることはありますか?
お手洗いや仕事に行き詰まったときの気分転換など、さまざまな理由で勤務時間中に席を立つことがあります。それが目に付くと実際の時間の大小に関わらず、上司から「離席が多い」と注意を受けることもあるようです。 そこで気になるのが「給与から離席時間の分が引かれてしまうのか」という点です。今回は、離席中に相当する部分が給与から控除されるかどうかについて考えていきます。
ノーワークノーペイの原則
給与の支払いについての考え方に「ノーワークノーペイの原則」というものがあります。ノーワークノーペイとは、働いた時間分は給与を支払い、働いていない時間は給与を支払わないというものです。 その原則に従えば、離席している時間は給与が発生せず、その分は給与から引かれてしまう(いわゆる休憩時間として扱われる)ように思われます。例えば1時間当たりの給与が1500円という方の場合、1時間働かなければその分の1500円は支払われない、という具合です。 しかし、全ての離席にそれを適用するのは妥当ではないでしょう。休憩時間とは、基本的に労働からの解放が保障されていなければなりません。上司から声がかけられる状態で、かつすぐに業務に戻れる状態であれば、それは休憩時間ではなく「待機時間」として仕事をしているともとらえられます。 厚生労働省によると、パソコンなど情報機器を使って作業を行う職種の場合に、労働者の心身の負担を軽くし、支障なく働けるようにするため、作業途中に小休憩(10~15分)を挟んで一連続作業時間が1時間を超えないようにすることなどを推奨されているようです。 ※出典:厚生労働省「『情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン』を策定しました」 そのため、お手洗いや気分転換といったような内容で、1日に何度か、合計30分程度の離席であれば、給与から「働いていない」と引かれることは考えづらいでしょう。もちろん実際にはケース・バイ・ケースで、個別の事情での判断が必要になりますので、その点には注意してください。