これでも破れないの!? 使い捨ての作業用手袋「ヘビーデューティー」が飛び抜けて強かった
機械いじりや塗装時の汚れから手を守れるアイテム「ニトリル手袋」。重作業向けとなる厚さ0.15mmのヘビーデューティーと、中作業向けとなる厚さ0.10mmのミディアムデューティーがどんなものか、試してみました。 【もっと写真を見る】
工具に興味があるなら、色々なモノの修理動画をよく見ているのではないでしょうか。錆て動かない機械やおもちゃの再生、黄変したレトロゲーム機の修理、時計のオーバーホール、絵画の修復など、時間を忘れてつい見てしまいますよね。 こういった動画で登場する道具が欲しくなる、というのはありがちな話。とくに、多くの動画に登場し、それでいて価格も高くないとなれば、「スグには使わないけど買っておこうかな」となるのは自然な流れといえます。 そんな道具の1つとなるのが、ニトリル手袋。機械いじりや塗装時の汚れから手を守れるのはもちろんですが、この逆に、対象に指紋や皮脂を付着させない、といった用途でも活躍してくれます。また、手にぴったりフィットするため、指先で細かな作業ができるというのもメリットです。 ●"ニトリル手袋"には種類があります 気を付けたいのは、調理や清掃用となっているニトリル手袋だと、尖ったところにひっかける、力を入れて作業するといったことで、スグに破れてしまうことです。工作用途で使いたいと考えているなら、より耐久性が高い製品を選ぶといいでしょう。 そんな工作用途に最適な丈夫なニトリル手袋が、今回紹介する「SAFESKIN* ニトリルグローブ ヘビーデューティー」です。 今回、重作業向けとなる厚さ0.15mmのヘビーデューティー(黒、M、40枚入り/実売価格 2400円前後)と、中作業向けとなる厚さ0.10mmのミディアムデューティー(水色、S、50枚入り/実売価格2200円前後)2種類の試供品をいただいたので、試してみました。 ●コンパクトで取り出しやすいパッケージ ニトリル手袋は1枚ずつ購入するものではなく、1パッケージで数十枚というのが普通。そのため、通常は紙の箱などに入って売られています。 しかし、SAFESKIN*は紙の箱ではなくPOPnGOパッケージを採用。これは、薄いプラスチックフィルムの袋に入ったパッケージで、上部のフタを開いて取り出し、閉めて保存できるというものです。ウェットティッシュのシール部がフタになったようなもの、といえば伝わるでしょうか。 1枚ずつ取り出しやすいのはもちろんですが、中身が減ると平らになっていくので、残りが少ないかどうか、ひと目で確認できるというのも便利です。 形状は左右共通。ヘビーデューティーを1枚引き出してみると、なるほど、厚みがあるのが感じられ、一般的なニトリル手袋よりもゴワゴワしている印象です。引っ張っても伸びにくく、手持ちの一般的な製品やミディアムデューティーと比べ、かなり丈夫に感じました。 柔らかさが違うというのは、引っ張った時にできるシワの様子からもわかります。例えば、親指の付け根当たりを指でつまみ、左右に引っ張ってみましょう。 一般的な製品やミディアムデューティーは薄く柔らかいため、シワが短い間隔で多数できます。これに対してヘビーデューティーは、厚みがあるためシワができにくくなっていました。 ヘビーデューティーは厚手で引っ張りに強いつまり、擦れやすい力のかかる用途で使っても、破れにくいだろうと期待できます。 手にはめてみると、やはり一般的な薄手の製品とは違うと実感します。とくに違うと感じたのは、装着するときの感触。 指を奥まで挿し込むため、手首あたりを引っ張って装着しますが、この時、一般的な製品だと伸びてしまい、なかなか指が奥まで入りません。これに対してヘビーデューティーは伸びが小さく、スルッと入ってくれます。 ただし、装着後の指の動かしやすさは、伸びやすい一般的な製品の方が上。ヘビーデューティーだと普段より抵抗が大きく、とくに指が曲げにくくなります。といっても、比較すれば曲げにくいというだけ。細かな作業の妨げになるほどではありません。 ちなみに、探してみるとヘビーデューティーよりも厚みのある製品があります。しかし、さらに指が動かしにくくなってしまうため、耐久性と動かしやすさを考えると、ヘビーデューティーのほうがバランスがよさそうです。 装着して気が付いたのは、指先が少し厚くなっていること。指先はどうしても破れやすいですから、厚めになっているのはうれしいですね。また、この指先は凹凸のある滑り止め仕様となっていたので、手にしたモノを落としにくいというのもメリットです。 ちなみに、手袋を装着したままでも、スマホやタブレットをタッチ操作できます。説明書や手順書、資料などを表示しながら作業する場合に便利ですし、急な連絡がきたときに、手袋を外すことなく応答できるのも助かります。 ●厚みの違いを実測で確認 触った感じで厚みが違うというはわかりますし、公称の厚みも書かれているものの、実際、どのくらい違うのかは気になりますよね。とくに、手首近く、指の根元、指先とで厚みが違うように感じたので、実際に測ってみました。使用したのは、0.001mm単位で測れるデジタル式のマイクロメーター。誤差は0.002mmです。 なお、厚さは新品の状態手を入れず、畳まれた状態で挟んで測っています。つまり、ニトリルゴム2枚分の厚みとなります。 比較したのは、SAFESKIN*ヘビーデューティー、ミディアムデューティー、そして手元のあった調理・掃除用の一般的な製品の3つです。 厚さ 調理・掃除用 ミディアム デューティー ヘビー デューティー 手首近く 0.098mm 0.107mm 0.190mm 中指根本 0.134mm 0.152mm 0.240mm 中指先 0.179mm 0.200mm 0.315mm 一般的な製品とミディアムデューティーはそこまで差はありませんが、ヘビーデューティーになると、1.5倍以上の厚みに。群を抜いて分厚いです。製造のバラツキや測定誤差やミスもあると思うので、あくまで参考値ですが、結構面白い結果です。 なるほど。手で触って違いがわかるだけの差はあります。 もうひとつ、貫通への耐久性も試してみましょう。ドライバーセットのキリをデジタルスケールの上に立て、ニトリル手袋を押し当てて何グラムまで耐えられるか、で比較してみました。なお、中指と人先指の2カ所で試し、平均しています。 耐久力 調理・掃除用 ミディアム デューティー ヘビー デューティー 貫通重量 約510g 約570g 約720g やはり厚みがあるぶん、ヘビーデューティーの耐久性が最も高く、飛び抜けて強いという当然の結果になりました。力を入れる作業するのであれば、ヘビーデューティーを使いたいところです。 ●憧れるのは黒のニトリル手袋 よく売られているのは青いニトリル手袋ですが、YouTubeの修理動画によく出てくるのは、黒。これに影響され、買うときは黒を探して買おうと心に決めている人は少なくないはずです。そういう意味でも、ヘビーデューティーを選びたいですね。 なお、SAFESKIN*ニトリルグローブは、ミディアムデューティーがS/M/L、ヘビーデューティーがM/L/XLというラインアップになっています。ヘビーデューティーのSサイズはないので、間違えないよう注意しましょう。 ●お気に入りポイント● ・力を使う作業にも結構耐えられる ・取り出しやすいパッケージ ・色が黒い! この記事を書いた人──宮里圭介 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。 文● 宮里圭介 編集●こーのス/ASCII