なぜ日本は没落するのか…その理由を岸田首相がやっちまった「ライドシェア解禁見送り」という「世紀の愚策」から解説しましょう!
「ライドシェア禁止」で失われる経済効果
いま議論されているライドシェアの全面解禁が起きると、この状況はどうなるのでしょうか。 規制された日本版ライドシェアと違い、アメリカのウーバーが世界各国で導入しているようなライドシェアではダイナミックプライシングが導入されます。 私の家から大病院までタクシーなら1200円程度の運賃ですが、ウーバーの場合、大雨だとか深夜だとか需要の多い時間帯は運賃が需給のメカニズムによってあがります。たとえば私の例では大雨の日ということで同じ距離の運賃が2000円にあがったりするわけです。 すると市場原理が働きます。低い運賃なら家で遊んでいる人が、ちょっとの距離を運んで2000円稼げるのならドライバーの仕事をしようと手をあげるのです。需要の多い日は運賃が上がり、結果として供給がダイナミックに増えるという現象が、ウーバーがベンチャー企業だったころに発見したイノベーションでした。 もし日本でライドシェアが全面解禁され、グローバル版のライドシェアにアップグレードされたら、この現象が日常的に起きます。 では、全面解禁されたらどうなるか。 わたしの場合を例にとって、経済効果を考えてみましょう。 私は半日仕事をリスケしたのでその分、GDPが下がったことになるのですが、ライドシェアが解禁されればわたしもこの日は働いていたでしょう。さらに別の人がわたしの母を病院まで運びGDPを2000円押し上げていたはずです。 それが国全体で起きます。首都圏のターミナル駅でタクシーを待つ長い行列が解消されますし、移動をあきらめていたひとが移動を増やします。ドライバーの収入が増えるだけでなく経済活動も活発化します。 つまりライドシェア解禁をすれば経済成長が起きることは「他国の事例からわかっている」ことなのです。
日本の未来よりも「タクシー会社」が大事な国
一方でライドシェア解禁はタクシー会社やタクシードライバーの仕事を奪うという議論があります。大義名分としては安全が導入慎重派の錦の御旗ですが、現実の集会では「仕事を守るぞ」とシュプレヒコールが上がっているのは周知の事実です。 国土交通省が解禁に慎重なのも、一部の政治家が導入に反対なのも、これらの意見を重視した結果です。 この記事ではライドシェアを解禁すべきかどうかについてはこれ以上は論じません。そうではなくて、この問題からなぜ日本経済が成長できないのかを理解しようというのが今回の記事の本筋です。 後編「なぜ日本経済は成長できないのか…日本から「天才たちが逃げる理由」を「ライドシェア解禁見送り」から解説します!」では、今回起きたことを、経済成長の視点で見直していきたいと思います。
鈴木 貴博(経営戦略コンサルタント)
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