日米首脳、中国を視野に防衛協力強化へ-日本で米艦船補修拡大も
(ブルームバーグ): バイデン米大統領と岸田文雄首相は、防衛分野での日米同盟を強化するために、防衛産業協力に関する協議体を設置し、日本国内で米海軍艦船の補修をより多くできるようにする計画だ。バイデン政権の高官が明らかにした。
10日にホワイトハウスで行われる日米首脳会談では、防衛が議題のトップになると同高官は説明。公式発表前であることを理由に匿名を条件に語った。
岸田氏は、日本の首相として2015年の安倍晋三氏以来9年ぶりの国賓待遇で訪米している。今回の首脳会談は日米関係にとって極めて重要な時期に行われる。中国が南シナ海で領有権の主張を強める中、日米両国はインド太平洋地域の安全保障の協力強化を目指している。
米国は、武器システムのより効率的な構築方法を見つけることを目標に、新設される防衛産業協力の協議体の潜在的なプロジェクトとして地対空誘導弾「パトリオット3(PAC3)」の共同生産を視野に入れている。PAC3は現在日本で生産されているが、大幅なコスト超過に悩まされている。
艦船補修に関する合意は、日本にとってより受け入れやすいものになるだろう。この合意では、90日以内の補修作業が必要な米艦船を日本の作業員が整備することになる。これにより、補修のために米国に艦船を戻す必要がなくなり、約1カ月分の海上移動の時間が節約される。米海軍は、特定のクラスの補修作業で人手が不足しており、日本でそれを補うことができると判断したと、同高官は説明した。
バイデン、岸田両氏はそれぞれ国内の政治課題に直面しており、11月の大統領選で再選を目指すバイデン氏は、共和党の候補指名獲得が確実になっているトランプ前大統領と厳しい競争の真っただ中にある。岸田政権は、防衛力増強の取り組みを進めている。これは第2次世界大戦後の平和主義的姿勢からの歴史的転換であり、日本国民にとってはデリケートな政治問題でもある。
岸田首相は訪米に先立ち、防衛装備や技術面を含めた安全保障上の協力を推進していくことで国際的な連携のネットワークを重層的に構築し、抑止力を強化する方針を表明した。バイデン、岸田両氏は首脳会談後に共同記者会見し、同日夜には公式晩さん会が開かれる。