Facebookの「インスタント記事」でニュースの読み方はどう変わる?
考えられるメリットとデメリット
Facebookはいうまでもなく、インスタント記事の展開に注力しています。昨年10月にはiPhone版Facebookアプリ、同12月にはAndroid版Facebookアプリの利用者はインスタント記事を利用できるようになりました。いまでは世界350以上のメディアがテストプログラムに参加し、毎日100以上のメディアがインスタント記事を配信しています。 ここまでインスタント記事の概要を紹介してきました。そもそもメリット・デメリットはどういうものが考えられるでしょうか。 メリットの一つは読み込みの速さ。ネットワーク環境が整った先進国でさえ、SNSからリンク先に飛ぶ際の時間は意外と長く感じるものです。インスタント記事によって、瞬時(1秒以内)に記事が表示されることはこれまでになかった体験です。これは読者側の大きなメリットとなります。特にネットワーク環境が不十分な新興国ではより効果を実感できることでしょう。 また、ニュースや広告をよりリッチに表現できることもメリットです。メディア側は、地図や写真のパン・チルト(上下左右振り)、写真への音声埋め込み、動画や音声の自動再生など新しいニュースの閲覧体験を提供できるようになります。 特に紙を母体とするメディア企業は、ウェブ記事の表現にまでなかなか手が回っていないこともよくあります。そのメディアの弱点をFacebookの技術力で担保できるのはインスタント記事を利用するインセンティブとなりそうです。
しかしながら、メリットばかりではありません。デメリットのひとつはサイトへの訪問が減ることです。デジタルメディア分析のcomScoreやGoogle Analyticsなどでトラフィックを計測することは可能ですが、収益モデルによってはインスタント記事の利用を躊躇するメディアも出てくることでしょう。 たとえば、メーター制(月に○○本まで無料)など有料課金モデルを採用しているメディア。インスタント記事は広告を掲出できるため、広告モデルのメディアは相性がよい一方、有料メディアにとってはFacebook上で記事を閲覧されても会員が増えるわけではありません。 ただ、新聞や雑誌などの伝統メディアは新興メディアと比較して、ソーシャル時代の流通に疎かった部分があるため、ワシントン・ポストのようにすべての記事をインスタント記事で配信するといったチャレンジングな選択をするメディアも出ています。