“数学嫌いの子”も納得する「数学勉強する意義」。学生時代に学んだことはどんな意義があるのか
まず、A塾のグラフが、恣意的に結果が悪くなるように書かれています。 A塾の結果は、「すごく成績が上がった」が22%で「まあまあ成績が上がった」が29%です。これを足すと、「22+29=51」で合計51%になります。 それなのに、A塾のグラフを見ると、過半数を超えていませんよね。半分より少ないように見えることがわかります。つまりこのことから、わざとA塾の結果を悪く見せていることがわかるのです。 そう考えてみると、A塾のグラフの合計もなんだかおかしいことになっています。「22%」「29%」「30%」「25%」なので、全部足したら106%になってしまいます。よく観察しないとわかりませんが、気づいてしまえば強烈な違和感を感じると思います。
そしてもう1つ、「ここはおかしい」と言えるポイントがあります。それは、2つの塾で抽出するデータの元が違うということです。 まず、この塾のデータは中学1~3年生までの671人のデータを引用しています。それに対してA塾のデータは、中学2年生のみ、69人のデータを引用しています。この時点で、比較するポイントが若干違うことがわかると思います。中学1~3年生のデータと、中学2年生だけを比較しているわけです。
もしかしたらA塾の中学2年生は、ほかと比べて結果が出ていない学年なのかもしれません。中学1年生と3年生は結果が出ているけれど、2年生だけは結果が出ていなかったのかもしれないわけです。 さらにおかしなポイントが、「n」という数字です。これは、中高の数学で習う概念です。「n」という数字はサンプルの数を指し、「n=x」という数式で、調査するサンプルの数がx人(件、個)であることを示します。仮に「n=100」であれば、それは「100人にアンケートをした」という意味になります。
このn数が、この塾のデータとA塾のデータでは、桁が違います。671人のデータと69人のデータを比較しています。n数が多いデータは、それだけ信頼性が上がります。しかし、n数が少ないデータというのは、信頼性が低くなってしまいます。 例えば3人のテストの平均点が60点だったら「60点くらいの難しさだったんだな」と感じるかもしれませんが、もしかしたら3人の点数は「180点・0点・0点」かもしれません。1人の人が平均点を上げてしまうことが発生するため、少人数のデータは信頼性に欠けることがあるということです。