『攻殻機動隊』や『葬送のフリーレン』など 田中敦子さんの代表作アニメを振り返り
8月20日、声優の田中光がエックスを更新し、母の田中敦子さんが61際の若さで亡くなったことを報告。多くのファンや同業者が悲しみに包まれた。田中さんはアニメや映画など、多くの出演作を持つ人気声優だった。今回はそんな田中さんの代表作アニメを振り返っていきたい。 【写真】多彩なキャラクターに命を吹き込んできた田中敦子さんのフォトギャラリー ■「攻殻機動隊」シリーズ 草薙素子 田中さんの代表作を語る上で欠かせない作品と言えば、士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を原作とするアニメ「攻殻機動隊」シリーズのメインキャラクター・草薙素子だろう。素子は脳と脊髄の一部を除き全身を義体化した女性型サイボーグで、公安9課の現場指揮官を務めている。スバ抜けた判断力、統率力、身体能力を兼ね備えた「強くてカッコいい女性アニメキャラ」を代表的する存在だ。 1995年公開の劇場アニメ『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』以降、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(2002年)や『イノセンス』(2024年)、『攻殻機動隊 SAC_2045』(2020年)などで四半世紀を超えて素子というキャラクターに命を吹き込んできた田中さん。2023年に公開された劇場版『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』でクランクイン!がインタビューをしたときは、素子のことを「相棒のような存在」(※1)と語っていた。田中さんの凛(りん)とした声とカッコいい素子はバッチリはまっていただけに、2026年に放送を予定している「攻殻機動隊」新作テレビアニメの動向が気になるところだ。 ■『葬送のフリーレン』フランメ 魔王を倒した勇者一行の後日譚を描く「週刊少年サンデー」(小学館)の大人気ファンタジー漫画『葬送のフリーレン』(原作・山田鐘人、作画・アベツカサ)のアニメにも田中さんは出演。主人公・フリーレンの師匠で人間の大魔法使い・フランメを演じた。彼女は、故郷の集落を魔族に襲われ死にかけたフリーレンを救い、弟子にとって戦闘や魔力制御の技術を教えた物語の重要人物だ。 フリーレンの成長を優しく見守るフランメの知的さと大人の魅力を、田中さんは絶妙に表現。8月に同作の公式エックスが田中さんを偲ぶ投稿をした際は、ファンから「フリーレンを優しく強く導いていく声が好きでした」「凄く『師匠』って感じが好きでした」「代役いないだろう…田中さん以外フランメ役のイメージが湧かない」など多くの称賛と悲しみの声が上がった。 ■『名探偵コナン』 メアリー・世良 漫画家・青山剛昌の人気作『名探偵コナン』のアニメでは、つり目と巻き毛がかわいい少女メアリー・世良を演じた。実はこの少女のような外見は、黒ずくめの組織にコナンと同じ「APTX4869」という薬を飲まされて縮んでしまったためであり、実は立派な大人で、赤井秀一や羽田秀吉、世良真純の母だ。 その正体はイギリスの諜報機関「MI6」に所属するエージェントで、優れた頭脳と高い身体能力を持っている。少女の見た目から放たれる田中さんの大人びた芝居は、見た目と中身のギャップを見事に表現していた。