多様な論客を鮮やかに切る“猛獣使い”平石直之アナが綴るファシリテーションの極意とは
まず大切なのが準備。活発な会議にするには、開催の目的を明確にし、参加者の構成を考え、事前のコミュニケーションをはかる準備が欠かせない。会議の最中も、発言や表情、態度に気を配り、全員に会議への参加意識を持たせる工夫が必要になる。 「会議は起点なんです。会議と会議の間もファシリテーターの役割は重要。ファシリテーターを媒介にして、参加者の関係性を深めていくことが、効果を最大化できる強いチームを築くことにつながっていくんです」 親しみやすい漫画仕立てにしたのも、立場や考え方が違う人とのコミュニケーションに悩む人、とくに若い世代に届けたいという強い思いが平石さんにはあったから。 「今は合意形成が難しい時代です。多様性を重視し、みんなのことを認め合うほど、人それぞれだよね、で終わってしまいます。でも、それでは、なかなか相互理解は深まりません。本の舞台はビジネス会議ですが、ノウハウは部活のミーティングや社内外の親睦会、プライベートでの集まりなど、さまざまな場にも応用できると思います」 人が集い、話し合う場は生モノ。瞬間の雰囲気を察知し、俊敏に対応する必要がある。平石さんも「いまだに失敗が多いです」と笑う。しかし、だからこそ、ファシリテーションが成功し、誰もが生き生きと発言する場を作り上げ、関係性が深まったときの喜びは大きい。 (ライター・角田奈穂子) ※AERA 2024年11月11日号
角田奈穂子