「物流の2024年問題」運転手の残業規制で「モノが運べない」危機のはずが...逆に輸送量増加の不思議
ファミマとローソン、日本郵便と西濃運輸...ライバル同士が共同運送
――なるほど。企業同士の連携、協働も進んでいるわけですね。そうした取り組みを行っている企業を紹介してください。 担当者 ファミリーマートとローソンは、東北地方の一部地域で両社の商品を同じトラックに混載し、共同で輸送を行っています。また、日本郵便と西濃運輸は、幹線輸送の共同運行に取り組んでいます。 最近では、東京海上ホールディングスやセイノーホールディングスなどが物流コンソーシアムを立ち上げ、複数の企業が協力して輸送の途中で運転手が交代する「中継輸送」の仕組みづくりを進めています。 企業間での輸送連携は、物流の効率化やコスト削減、環境負荷の軽減などの効果が期待されます。 たとえば、共同輸送によってトラックの空積率が改善され、輸送コストの削減につながります。また、複数の企業が協力して運行することで、ドライバーの確保が容易になり、人手不足の解消にも寄与します。さらに、共同輸送によりトラックの走行距離が短縮され、CO2排出量の削減など環境への負荷軽減も期待されます。 企業間での緊密な連携は、今後の物流業界の持続可能な発展にとって重要な要素となるでしょう。 ――いいことづくめですね。しかし、帝国データバンクが今年7月に発表した「道路貨物運送倒産動向」を見ると、倒産が最多水準になっています。業界で淘汰が進み、大手による中小の吸収によってさらに効率化したということでしょうか。 担当者 輸送量が増加し、過当競争が進んでいるため、昨今の原油価格の高騰や人手不足など複合的な要因により、優勝劣敗の二極化が生じていると考えられます。ただし、まだ、「淘汰が進み、大手による中小の吸収によってさらに効率化した」状況と言えるまで進展しているわけではないと思います。
運輸業界だけでなく、消費者も変わらないと
――今後の物流業界はどうなるでしょうか。 担当者 依然として燃料費の高騰や深刻な人手不足など、業界全体に厳しい環境が続いています。2024年問題もまだ解決されたわけではありません。さらなる輸送の効率化や自動化を推進することに加え、私たち消費者側の物流に対する意識と行動を変えることも、安定的な物流機能の確保には不可欠でしょう。 (J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)