海洋ごみ30トンを一掃「瀬戸内オーシャンズX」:宇和海の離島から回収作戦スタート
上陸地点には大量のごみがずらり。プラスチック製の大型フロート、ブイ、その他のごみに仕分けされていた。3日前から試験的に回収作業を進め、戸島と近隣の離島から小型船舶で運んだものだという。 一同はまず、フロートを波打ち際へとバケツリレー。大きな袋にまとめてクレーンで上陸用舟艇へと運び込む。 かさばるフロートは船に積んだプラスチック減容機で4分の1サイズに。この機械では、時間をかければ10分の1まで圧縮できるそうだ。続いてブイも同様にリレーして、船上の粉砕機で小石大にした。
残るはコンテナ、ポリタンク、ペットボトル、カップ麺の容器など、さまざまなプラスチックごみ。手分けをして回収、分別作業を進め、およそ1時間でごみは一掃された。 中村知事はきれいになった海岸を見渡しながら、「途方に暮れていたごみが、この方法で一掃できることを実感した。国の回収作業でもこの船を検討してほしい」と、感慨深げだった。
ごみ削減意識を子どもから広める
また中村知事は「ごみ発生の抑制にも努める」とし、その一環として、今回の作業では地元の中学生に参加してもらったという。「環境教育を受けた児童・生徒は親や周りの大人を巻き込んでくれる。役所の注意喚起に耳を貸さない人も、子どもの声なら届く」との狙いからだ。 実際に作業に参加した中学生たちは「レジ袋はもう使わない」「気軽に何でも捨てないように気を付けます」と、環境問題を身近に感じたようだった。 宇和海では今後3年間で、特にごみが多い107カ所の巡回回収を予定。海洋環境の保全が国際課題となる中、「瀬戸内オーシャンズX」はモデルケースとなることを目指す。 活動に手応えを感じたその帰りの航行中に、船が突然に停止するアクシデントに出くわした。漂流していた漁網のかけらがスクリューに絡まったのが原因だ。海洋ごみが景観や生物への被害だけでなく、船舶運航の安全にも影響すると身をもって知った。 取材・文・撮影(提供写真除く)=ニッポンドットコム編集部