800日連続で寿司を食べたマニアが推薦!ミシュラン2つ星「紀州前寿司」が感動級に旨い
まず、カウンターの中に立つ大将の風貌がユニークです。 一般的に寿司店の大将となると、スキンヘッドを想像される方も多いでしょう。ですが、最近の寿司店の大将はダイバーシティ化が進んでいて、こちらの奥村大将もまさに新世代な風貌をされています。 サイドを刈り上げて、金髪が入り混じるおしゃれなヘアスタイルに髭も生やしていて黒縁メガネ。イケオジな色気が漂うオシャレな風貌で格好良いです。
そんな大将が握る寿司は、どれもアート性が高く、繊細でユニークなものが多いです。私は、その店でしか食べられない記憶に残る1貫のことを“スペシャリテ”と呼んでいるのですが「鮨 義心」にはいくつものスペシャリテがあります。
例えば、旬の小魚を使用した「半熟黄身酢朧締め」がとにかく美味しい。半熟でとろとろの黄身酢を纏った鱚(キス)や細魚(サヨリ)は、口内でねっとりと混じり合い、より一層の色気を魚に纏わせています。ここにしかない究極の1貫です。
また、もうひとつのスペシャリテは、コース終盤に提供される「笹の葉寿司」。 他のネタには赤酢とコクのある塩、酢が効いた 江戸前シャリを使用しているのですが、この「笹の葉寿司」には、関西シャリを使っています。江戸前シャリとの違いは、白酢を使用し、砂糖がしっかり効いた甘めのシャリとなっている点です。
シャリひとつとっても、地域性が出るのが寿司の面白い点。関東は塩辛いシャリの文化、関西は甘いシャリの文化があり、この店ではひとつのコースで“東西シャリの共演”を堪能できるのも楽しいのです。
笹に包まれ、香りを纏った「笹の葉寿司」のネタは、車海老や鮎など。
甘めの関西シャリには、ひじきなどを混ぜ込んでいて、噛むほどにジューシーさが広がり思わず笑顔になってしまう美味さです。
他にも、マグロの赤身や中トロに合わせて地酒をぬる燗でペアリングしたり、地元の季節野菜を使用したおつまみや酢漬け(ガリ)が出たり、締めに出てくる季節の地元高級フルーツまで、最初から最後まで、ここにしかない体験が待っています。
食材の宝庫、和歌山県の食材にこだわって、独自のおまかせを構成する「鮨 義心」の“紀州前寿司”は、オトナ心をくすぐる最高の名店です。 鮨 義心 住所:和歌山県和歌山市畑屋敷東ノ丁6 第二中村ビル 1F 営業:18時もしくは19時入店、不定休 寿司リーマン=写真・文 アントレース=編集
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