アニメ推しで堂々参戦も…NECの秘密兵器「PC-FX」は、なぜ次世代ゲーム機戦争に敗れたのか
■PCーFXはなぜ生き残れなかったのか
結局、初代プレステやセガサターンの勢いに太刀打ちできず、大きな差をつけられてしまったPC-FX。その要因はいくつかあると思いますが、発売時の49800円という価格はプレステ、セガサターンよりも高額だったのは衝撃でした。しかも、売れている両ハードはメーカーが自発的にどんどん値下げしていったのも、当時の状況を象徴しているかのようです。 それに、不利な状況をくつがえすほどのキラーソフトが生まれなかったのも事実です。幻となってしまったRPG『天外魔境III』が予定通りPC-FXで発売されていれば……とも思いますが、PC-FX自体の低迷が開発中止を招いたともいわれており、たとえ発売されていたとしても手遅れだったのかもしれません。 結局PC-FXで発売されたソフトは4年間で62本と、ほかの2ハードと比較しても圧倒的に少なく、サードパーティーの参入も数えるほどでした。 こうして発売から4年ほどで存在感を失ってしまったPC-FX。プレステとの次世代ゲーム機戦争に敗れたセガのハードほど熱狂的なファンが目立たないのは、購入者の母数を考えたらやむを得ないでしょう。少しずつ忘れられた存在になりつつあるのはユーザーとしては寂しい限りです。 しかし、PC-FXから生まれたタイトルにも傑作はあったし、90年代のゲーム業界を盛り上げた個性的なハードだったのは間違いありません。いまだ手放すことのできない筆者としては、記録にも記憶にも残していきたいゲーム機だと思っています。 個人的には、けっこうコアなユーザーの多かったPCエンジンのゲームも遊べる「後方互換性」があれば、買い替え需要も含めてワンチャンあったのでは……と思ったのですが、いかがでしょうか。
山口和則