もうすぐ定年ですが、同僚に「貯金1000万円だけで定年を迎えるのは厳しい」と言われました。わが家は子どもがみんな「独り立ち」していますし、問題ないですよね? 決して少なくない金額だと思います
ある会社に勤め、もうすぐ定年を迎える男性は、帰りの電車の中でばったり同僚と遭遇し、他愛のない会話をはじめました。気心知れた仲ですが、最近はお互いに忙しく、近況を語り合うのは久しぶりです。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい? ふと定年とお金の話になり、その会話の中で「貯金1000万円だけで定年を迎えるのは厳しい」と言われました。男性はその一言に不安と疑問を持ちました。 確かに老後は現在よりも収入は落ちるのは目に見えていますが、現時点で子どもも独立し一時期よりも支出は減っています。貯金の取り崩しが必要なことは認識していても1000万円は決して小さい金額ではないので、問題ないと捉えているのです。 本記事では、この男性の事例をもとに、今回は定年と貯金に対する疑問に回答します。
定年を迎えるころの貯金について
まずは定年を迎えるであろう60歳代の貯金額についてみてみましょう。 金融広報中央委員会の令和5年度 家計の金融行動に関する世論調査(総世帯)によると、世帯主が60歳代の世帯では平均値が1862万円、中央値が530万円となっています。 この金融広報委員会中央委員会の平均値、特に中央値をみてもやはり1000万円は少なくない金額です。本当に1000万円では足りないのでしょうか。男性の疑問は膨らむばかりです。
貯金1000万円では本当に厳しい? 定年とお金の対策
それでは定年とお金について解説します。実際のところ定年を迎えるにあたって貯金額が大きいに越したことはないのは事実です。 しかし、具体的にいくらあれば安泰という話ではありません。当たり前の話ですが、収入よりも支出が小さければ生活できますし、一時的に大きな支出があったとしても1000万円あれば、困るケースはそう多くないでしょう。 その時の状況に合わせた収支バランスで生活できれば、お金に困ることはありません。それらについてみていきましょう。 ■家計の見直し まず優先すべきは家計をしっかり見直しすることです。当然のことながら定年後の収入の柱は年金で、現役時代よりも少なくなることは避けられません。そのため無駄な支出を削減することが重要です。不要なサブスクリプションや、必要以上の外食などがこれにあたります。 幸い今回相談を受けた男性は、子どもが皆独立しているので今後大きな支出が発生する可能性が小さいです。そのため、やむなく定年後の生活収支で支出が多くなってしまっても、1000万円を少しずつ取り崩しながら生活することも可能でしょう。 ■定年後も収入を得る 定年しても収入を得ることはとても大切です。再雇用制度のある会社なら、そのまま継続して働き続けるのもいいでしょう。支出がわずかに上回る程度であれば、パートタイムで働くだけでも家計を大きく助けます。家計収支を適正にし計画的に働けば、現役時代よりも労働に追われることもなく、自分の時間も楽しめるでしょう。 ■年金の繰下げ受給 年金の繰下げ受給も生活に余裕を持たせる方法になります。先ほど紹介したように再雇用で働くなどして、生活に余裕があるのであれば、繰下げ受給により将来もらえる年金を増やすのも有効です。
まとめ
今回は定年と貯金額について解説しました。 生活をする上で重要なのは収支のバランスです。この管理を徹底したうえで、今回紹介した対策を実行できれば、貯金額だけにとらわれることなく定年を迎えることができるでしょう。 出典 金融広報中央委員会 令和5年度 家計の金融行動に関する世論調査[総世帯] 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部