新型ケータハム・プロジェクトV日本上陸!!! こんなイギリス製スポーツカーを待っていた!!!
2024年1月12日から開催された「東京オートサロン2024」(千葉県・幕張メッセ)には、ケータハムが開発中の新型スポーツカー「プロジェクトV」が公開された! 実車を見た大谷達也が同車の魅力を考える。 【写真を見る】新型プロジェクトVの内外装を徹底チェック!!! 意外なほど快適で先進的なインテリアに注目!!!
次の50年間を見据えた1台
イギリスのライトウェイトスポーツカーメーカーであるケータハムは、東京オートサロン2024に新型プロジェクトVを持ち込んだ。 2023年の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で発表されて世界中の注目を集めたプロジェクトVは、誕生から半世紀が経過したケータハムが、次の50年間を見据えてゼロから開発した電気自動車(EV)である。 これを聴いて「EVを作るなんて、ケータハムも終わったな」と、嘆く古くからのファンも少なくないだろうが、このプロジェクトVは、彼らが1972年から連綿と作り続けてきた「セヴン」のスピリットを、そのままEVに投影して開発されたモデルといって間違いないように思う。 現代のEVは、長い航続距離と強大なパワーを支えるために巨大なバッテリーを搭載するケースは少なくないが、プロジェクトVは敢えて55kWhとコンパクトなバッテリーを採用。車重を少しでも軽くするための措置だが、バッテリーは前後へ2分割し、運転席と助手席はフロアに固定するカタチとすることで着座位置を極限まで下げるとともに、全高1226mmというスポーツカーらしいルーフの低さを実現した。 しかも、モータの最高出力は272psで、パワーよりも小型軽量を重視。EVでよくある4WDとせずRWD(後輪駆動)とし軽量化。ちなみに、車重は1190kg以下とするのが目標として掲げられている。 この車重の軽さ、そして低い全高により空気抵抗を抑えた結果、比較的コンパクトなバッテリーにもかかわらず400kmの航続距離を達成。0~100㎞/hの加速タイム4.5秒以下、最高速度230km/hのパフォーマンスを発揮するという。 こうしたコンセプトとともに目を見張るのが、スタイリングだ。シンプルでありながら、筋肉を思わせる曲線をていねいにレイアウトすることで生み出されたプロポーションは、実に美しく、魅力的。 いっぽう、フロントグリルはセヴンを想起させるデザインとされたが、クルマ全体を貫く美意識は決して後ろ向きではなく、むしろ一定の未来志向を感じる。 同社COOのジャスティン・ガーディナーは「このデザインであれば、次の50年間も生き延びられると思います」と、語ったが、まさにタイムレスな造形といって間違いないだろう。 今回展示されたプロトタイプは、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでの発表に続いてイギリス国内の数カ所で公開されたあと、製作に関わったイタリアのイタル・デザインで“化粧直し”をおこなってから日本に運び込まれた。つまり、イギリス国外で一般公開されたのは日本の東京オートサロン2024が初めてとなったわけだ。 現在、プロジェクトVは2026年の発売を目指して開発が進められている。完成が待ち遠しい1台だ。
文・大谷達也 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)