「豊かな海を守りたい」釣りに特化した上天草市地域おこし協力隊に密着【熊本】
テレビ熊本
上天草市では魚釣りで地域おこしをする取り組みが行われています。 コンセプトは「豊かな海を守りたい」。 全国でも珍しい釣りに特化した地域おこし協力隊に密着しました。 夜が明ける前の上天草市です。この日、海に浮かぶ釣り堀で初心者を対象にした釣り教室が開かれました。 「もう巻かんでいい、巻かんでいい」「やったー」「釣れました」 「オー釣れた、よかったね、やったね」 「うれしかった。ちょっと手が触れた。ブルブルって痛かった」 全国でも珍しい、釣りに特化した地域おこし協力隊です。 サポートしているのは、4年前、兵庫県から上天草市に移住した明瀬 智博さん(37)です。 【上天草市地域おこし協力隊 明瀬 智博 さん】 「幼い時から父が釣り好きで、父と一緒に上天草によく釣りに来ていた。父の影響もあって私自身も趣味が釣りになり、大人になって〈上天草を釣りで盛り上げたい〉という思いで上天草の地域おこし協力隊の釣り担当として来ました」 上天草市は海に囲まれていくつもの島があり、内海なので波は穏やか。多くの釣り客が集まります。 「残り10分でーす」 【参加者】 「釣れました!」(すごい、どうですか?キスのあたりはどんな感じでした?) 「あ、でもなんかサクッと釣れました!」 インタビュー中にもアタリが…。 「逃がしていい。逃がそう」 おととし11月には、釣り人のマナーアップにつなげようと、魚を1匹釣ったらゴミを1つ持って帰るイベントを開きました。 中には、捨てられた自転車のゴムチューブや古い釣り竿なども…。 「なんで釣り竿捨てる人がいるの?」 「天草の豊かな海を守りたい」。 そんな思いから明瀬さんは「環境に優しい釣具」の開発を進め、『46AMAKUSA』というオリジナルブランドを立ち上げました。 こちらの毛針は天草大王の羽根を使っています。 地元の養鶏場から廃棄される羽根をもらって作りました。 【明瀬 智博 さん】 「意外と『天草』という名前とか、釣り場としての認知度はものすごく高いのですけど、それが何県にあって、とか特産品は何で、とかいうのが浸透してないなと感じてきて、釣具で天草をPRできたらいいな」 実際に、近くの海に行き、『天草大王の毛針』で釣りをしてもらうと…。 【明瀬 智博 さん】 「あっ、きました。結構、大きいですね!元気よかったですね」 釣りの時でも海岸のゴミ拾いは欠かせません。 【明瀬 智博 さん】 「釣りする時は必ず見かけたゴミは拾って帰ってますね。釣りを楽しむ者として同じ釣り好きな人が落とした物は拾っていきたいなと考えています」 上天草市の西目海水浴場です。 この日は海草アマモの種まきが行われました。 「種を入れていきます」 海の環境を陰で支えるアマモは「海のゆりかご」と呼ばれ、魚たちの生息、産卵場所となっています。 しかし、海水温の上昇や環境悪化などの影響でアマモ場は減少傾向にあります。 【明瀬 智博 さん】 「地元の漁師さんたちは『(アマモが)昔に比べたら減ってきている』と皆さん言われます」 「アマモをもっと増やしていって、僕が幼かったとき、釣りをいっぱい楽しんだんですが、〈次世代の子どもたちにも釣りを楽しめる豊かな海として残していきたい〉という気持ちでやってます」 「釣りができる豊かな天草の海を守りたい」。明瀬さんの活動は続きます。
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