中国、積み上がる貿易黒字「第2次貿易戦争」の火種に 10月輸出は2年3カ月ぶり伸び率
【上海=三塚聖平】中国税関総署が7日発表した10月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比12・7%増の3090億ドル(約47兆円)だった。7カ月連続でプラスを維持し、米ブルームバーグ通信によると2022年7月以来の高い伸び率だった。 米大統領選では共和党候補のトランプ前米大統領が勝利しており、中国の輸出の伸びが「第2次貿易戦争」の火種となる可能性が早くも指摘されている。 輸入は、2・3%減の2133億ドルだった。マイナスは4カ月ぶりだ。不動産不況を背景に内需が弱含んでいることが響いている。これにより、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は957億ドルの黒字だった。黒字額は9月の817億ドルから拡大した。 1~10月の累計では、輸出が前年同期比5・1%増、輸入が1・7%増、輸出と輸入を合わせた貿易総額は3・7%増だった。貿易収支は7852億ドルの黒字となっている。 同時期の国・地域別のデータを見ると、米国とは輸出が3・3%増加したのに対し、輸入は1・2%増にとどまっている。 トランプ氏は中国製品に60%の関税を課す方針を表明している。中国は内需不足を輸出で補っており、実現すれば景気低迷下にある中国経済への衝撃は大きいとみられる。中国・上海市で開催中の総合見本市「中国国際輸入博覧会」の会場でも、「トランプ氏再登板による中国市場への影響は現時点で見通せない」(日系企業幹部)と先行きを懸念する見方が多かった。 中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官は7日の記者会見で「貿易戦争に勝者はなく、世界のためにもならない」とクギを刺した。 貿易摩擦は対米に留まらず、中国製の電気自動車(EV)の輸出を巡り欧州連合(EU)にも及んでいる。中国とEUとの貿易は、1~10月の累計で輸出が前年同期比1・9%増だったのに対し、輸入は4・1%減と低迷している。