塚田川、土砂崩れ十数カ所 輪島・豪雨で4人死亡、「二重被災」被害拡大か
●国土地理院、上流で確認 国交省、現地調査に着手 9月の奥能登豪雨で氾濫し、4人が犠牲になった輪島市の塚田川で、上流の十数カ所に土砂崩れや土石流が発生していたとみられることが国土地理院への取材で分かった。元日の能登半島地震で崩れた山肌が豪雨で一気に流出し、被害を拡大させた可能性がある。1日で地震発生から10カ月。国交省は現地調査に着手し、地震と豪雨による「二重被災」の実態を検証する。 輪島市久手川(ふてがわ)町の塚田川では9月21日午前、河川が溢(あふ)れて住宅が押し流されるなどして10~80代の男女4人が濁流に巻き込まれた。 豪雨後の同23、24日、4人の行方が分からなくなった現場から約2キロ上流で航空写真が撮影され、国土地理院が十数カ所で土砂崩れの跡などを確認した。 大半は数十メートルにわたって斜面が崩れ落ち、延長100メートル近い土砂崩れの跡もあった。地震で斜面が崩れやすくなったところに、豪雨で土砂崩れが複数発生し、そうした土砂の多くが塚田川に流れ込んだとみられる。 また、4人が不明になった現場付近は、塚田川に架かる複数の橋に大量の流木が引っ掛かり、溢れた濁流が集落一帯に及んだ。半島特有の山がちな地形で一気に水位が上がり、押し寄せた流木が被害範囲を広げる一因となった可能性があり、国交省の担当者は「いろいろな要因が重なった『複合災害』だ」と指摘する。 国交省は塚田川など奥能登豪雨で氾濫した5河川について、2次被害の恐れがあり、復旧対策に高度な技術を要すると判断して自治体に代わって対策工事に取り組む権限代行制度を適用。応急復旧工事に着手しており、川底にたまった土砂を撤去したり、緊急的な工事を実施したりする計画だ。塚田川では緊急的な砂防工事も予定されている。