半導体製造、ウエハー仮固定で新技術 レゾナック
レゾナックが、先端半導体の製造工程で活用する新技術を開発した。開発したのは、ウエハーをガラスなどのキャリアに一時的に固定するための仮固定フィルムとそれを剥離するプロセスで、半導体の前工程や後工程での利用を目指している。 【関連写真】仮固定フィルム除去の様子 新技術は、キャリアからウエハーなどを剥離するためにキセノン(Xe)フラッシュ光による照射を利用し、ウエハーサイズからパネルサイズまで適用可能。一般的なレーザー照射に比べ、短時間で煤(すす)のような異物を出さずに剥離できるクリーンな技術という。日本、米国、韓国、中国、台湾地域で特許を取得している。 先端半導体の前工程・後工程では、作業性向上のため、ウエハーやチップは仮固定材でキャリアに一時的に接着される。その後、さまざまな加工プロセスを経て、ウエハーやパッケージは仮固定材とともにキャリアから剥離される。このため、仮固定材には、あらゆる加工プロセスへの適合に加えて、残った仮固定材を容易に除去できる性能が求められている。 剥離方式は、高い歩留まりと生産性を実現するために、ウエハーやパッケージにダメージを与えることなく、短時間で剥離できることが求められる。最近は後工程でも、前工程と同様にクリーンなプロセスが求められており、一般的なレーザー照射による剥離方式で発生する煤が課題となっている。 レゾナックが開発した仮固定フィルムは、高い耐熱性と耐薬品性を備え、仮固定時は十分な接着性を示しつつ、キャリアから剥離した後は常温で簡単に、残留物を出さずに剥がすことが可能という。大面積の一括照射が可能な剥離方式で、瞬間的に高いエネルギーを出力できるキセノンフラッシュ光による照射を採用。ガラスキャリア上に形成した金属層を局所的に加熱・変形させることによって、ウエハーやパッケージに熱や物理的な負荷をかけることなく、短時間で剥離できる。樹脂分解を伴うことなく剥離できるため、レーザー照射時に発生する煤のような異物が発生しないのも特徴だ。 新たな仮固定フィルムと剥離プロセスは、メモリー半導体、ロジック半導体、パワー半導体、先端半導体パッケージといった全ての製造工程に適しているという。同社は今後、新規仮固定プロセスの構築を共に進めていける開発パートナーを探すとともに、市場展開を目指していく構えだ。
電波新聞社 報道本部