相葉雅紀の“人間性”を大塚明夫が絶賛「一流のアイドルは僕らと全然違う」
■台本に向かうときは苦しいけど楽しい
――俳優や声優として、お2人が考える“キャラクターを演じる醍醐味”とはどんなところでしょう。 大塚:日常の自分から逃げられるところじゃないですかね。 相葉:お疲れなんですね…。 大塚:(笑)。普段自分が、これはやるべきじゃないなとか自分に課した枷(かせ)みたいなものがいろいろとあるじゃないですか。でも、役の上だとそれを持っていたらだめなので、それを取り外せるんです。取り外したところで「それは役だからしょうがないじゃん」っていう大義名分があるので。それができるというのは、どこかで解放に繋がっているかもしれないですね。 相葉:僕は、台本に向かって1人で役作りをしてるときが、1番苦しいんですけれど楽しいです。演技について学校とかで習ったりはしていなくて、現場でいろいろな方々や監督から教えてもらったもので積み上げてきました。自分が作った役を持って行ったときに「違う、この方向じゃない」って言われたときに、それを持って帰ってまたやり直してっていう作業を家でやります。そのときの、この役はこういう性格やバックグラウンドで、スタンダードはこの辺のテンションでというように、キャラクターを構築していく時間みたいなものが1番楽しいですね。 ――今回は声のみの演技でしたが、俳優として演技をするのと違いは感じましたか? 相葉:すごく新鮮でした! 俳優としての演技と大きくはそんなに変わらないですけど、絵だと台詞のタイミングが決まっていたりするんです。例えば、この秒数しかこの絵はないから、それが漏れちゃうと次のカットに進んでしまうとか。技術的な難しさはすごくありました。すごいんですよ、声優さんたちの技術って! 改めて声優さんというお仕事に対してそう思いましたし、自分にはなかなか難しいなとも思ったんですけど、キャラクターを構築していくという点において、家でやる作業の本質の部分は変わらない気がします。 それから、声だけで表現する難しさというものも感じました。というのも、体とかアクションを封じられているので、自分はそのつもりでやっていても「あ、この声じゃ伝わらないんだ」って気づきがあったり…この難しさは、日々すごく感じています。 ――大塚さんは、これまでの経験から“声だけで演じる”上でどんなことを大事にしているのでしょう。 大塚:作品のスパンが短いものですから、例えば収録を1日や半日でやらないといけないとすると、作り込んで、これやってみよう、こうやってみようということが許されないんです。みんなで「僕こうやってみたい、ああやってみたい」ってやっていると終わらなくなってしまうので。だから、合わせるという技術も声優をやる場合には必要になってくるんですが、そこばっかり気にして暮らしていると、じゃあ好きにやっていいよって言われたときに手も足も出なくなってしまうケースもある。なので、その辺りで自分を見失わないようにというのは心がけていますね。 ――今回で言うと、庶民らしさとか。 大塚:そうですね。“真っすぐなやつ”っていう感じで。人間って、真っすぐな人もいるかもしれないけど、でも全部が全部そうじゃないじゃないですか。そういうところに、自分の中にあるものをちょっと削ったり足したりしながら役を作っていくのが僕のスタイルなんです。何と言っても数が多いもので、1から土台を作っていくと大変なんでね(笑)。中には集中して、撮影の期間ずっとその役の気持ちになっている役者さんもいますが、それが許されないスパンで僕らの仕事は回転していくので、どうしてもそういう意味ではやっつけ的になることもあるのかもしれない…その辺はちょっと反省しないといけない、忘れちゃいけないことですね。 ――柔軟性が必要になってくるんですね。