リチャードの「移籍志願」はわがままか 実は「移籍直訴は珍しくない」という内情
移籍志願はわがままなのか――。ソフトバンクのリチャードが11月22日に球団事務所で契約更改に臨んだが、サインせずに保留。球団フロントに交渉の席で移籍を希望したことが、複数のメディアで報じられた。 【写真】過去にもいた移籍志願をした長距離砲はこの人 「ファームで切磋琢磨していた水谷瞬(日本ハム)、野村大樹(西武)が新天地で活躍している姿を見て、いろいろ感じたのかもしれません。確かにリチャードが置かれた立場は厳しい。2軍では無双状態ですが、1軍では出場機会を年々減らしている。一塁は山川穂高、三塁は栗原陵矢がいますし、レギュラー奪取は非常に難しい」(スポーツ紙デスク) ホームランアーティストは稀少価値がある。リチャードは逆方向にもアーチを叩きこみ、広角に打球を飛ばす。4度の本塁打王に輝いた山川が絶賛するほどの素材だ。今季はウエスタン・リーグで18本塁打、54打点をマークし、同リーグで5年連続5度目の本塁打王と3年連続4度目の打点王を獲得した。 だが、1軍に上がると能力の半分も出し切れない。15試合出場で打率.226、0本塁打、1打点。「2軍の帝王」と評されることは本人も不本意だろう。一塁、三塁のレギュラーが固まっていない他球団のほうがチャンスは多く与えられるかもしれない。 ■1軍では鳴りを潜めた長打力 だが、ソフトバンクを取材するテレビ関係者は厳しい見方を示す。 「そんな甘い世界ではないですよ。リチャードは以前より改善されましたが、まだまだプロ意識が高いとは言えない。凡打になると思ったら全力疾走を緩めるし、打てなくなると元気がなくなる。水谷、野村はリチャードより1軍で与えられるチャンスは少なかったですが、自分の課題に向き合って野球に真摯に打ち込んでいた。リチャードの長距離砲としての才能は申し分ないですが、今のままでは他球団に移籍しても活躍できるのか疑問です。もっと強くたくましくならないと」 確かにリチャードは1軍でチャンスが与えられなかったわけではない。21年に34試合出場、116打席で打率.181、7本塁打、20打点と素質の片鱗を見せたが、22年は23試合出場で3本塁打。23年、24年はノーアーチと、1軍では長打力が鳴りを潜めてしまった。