冬本番 ツルツル路面の歩き方は? 相次ぐ転倒、救急搬送も
路面が凍って滑りやすくなる季節を迎えています。シニアは転んでけがをすると、寝たきりや認知症が進む恐れがあり注意が必要です。氷が張りやすく傾斜で滑りやすい場所はリスクが一層高まります。危険箇所を知り、手袋や帽子などの防備で冬を無事に乗り切りましょう。 札幌市豊平区の会社員渡辺絵里子さん(61)は冬になると、砂を詰めたペットボトルをかばんの中に忍ばせて外出します。「危ないと思った箇所にサッとまきます。自衛策です」と話ます。 渡辺さんは4年ほど前の2月中旬の夕方、横断歩道で転び、大腿骨(だいたいこつ)下部の複雑骨折で2カ月半の入院を余儀なくされましたと言います。前日、気温が緩み、解けた雪が凍って傾斜部分が滑りやすくなっていました。「転倒時は全く動けず、周囲の方に抱きかかえてもらいました」と振り返ります。 退院後、松葉づえの使用は2カ月、リハビリは1年。太ももなどに埋め込まれたボルト14本を抜くため、さらに2週間入院しました。冬の外出が一時怖くなったという渡辺さんは「時間に余裕を持たせる習慣が付きました。危なそうな道は極力避けています」。 一般社団法人北海道開発技術センターによると、2019年度(12~3月)、札幌市内で転倒による救急搬送者数は前年度比198人少ない688人。1996年度以降、年代別搬送者数は、60代が最多。80代以上は入院の必要な「中等症」より重いけがとなる割合が全体の半数を占めます。加齢により大きなけがを負いやすい傾向がうかがえます。 転倒予防のコツについて同センター調査研究部の首席研究員で冬道の歩き方を研究する永田泰浩さん(47)は、雪面状態で異なるとしつつも「体の重心は前にし、足の裏全体を路面に付ける感じで歩いてほしい」。氷の路面で歩幅が大きいと、バランスを崩して転倒の恐れも高まると指摘します。