30周年『古畑任三郎』豪華”犯人たち”の印象深い名ゼリフ
俳優の田村正和さんが主演し、三谷幸喜が脚本を手掛けた人気刑事ドラマシリーズ『古畑任三郎』。本作の放送スタート30周年を記念し、現在フジテレビ「ハッピーアワー」枠(毎週月曜~金曜 第一部13時50分、第二部14時48分)で一挙放送中だ。毎回豪華ゲストが犯人役などを務めることが恒例だった同シリーズ。今回はそんなゲストたちの放った印象的なセリフの一部を紹介したい。(※以下、ネタバレを含みます。ご了承の上、お読みください) 【写真】『古畑任三郎』豪華すぎるゲスト”犯人”たち ■ さんま「あんた、司法試験受けなはれ」 1996年放送の2ndシーズン、当時すでに大物芸人だった明石家さんまが出演したのは「しゃべりすぎた男」。邪魔になった交際相手を殺害し、偶然居合わせた古畑の部下・今泉にその罪をなすりつけ、あろうことかその弁護を買って出る弁護士・小清水を怪演した。 自身のホームである法廷での弁論をきっかけに、古畑に自供に追い込まれた「しゃべりすぎた男」は、ラストシーンで古畑に「あんた、司法試験受けなはれ。できるだけ早くや」「決まってるやろ、僕の弁護ですよ。頼んまっせ」と吐き捨て、連行されていく。弁護する者が一転、弁護される者の側へ。2ndシーズンの開幕を告げる、あざやかに決まったオチだった。 ■ 桃井かおり「痛い?」 1994年放送の1stシーズン「さよなら、DJ」では、桃井かおりふんするラジオDJ・中浦たか子が、生放送の途中、恋人を奪った自身の付き人の殺害を決行。印象的なのは、殺害シーンだ。 桃井に殴られ倒れる付き人。血を流しながら苦もんの表情を浮かべる被害者を、覗き込むように見下ろす桃井ふんする中浦は「痛い?」と尋ね、もう一度凶器を振り下ろすのだった。自分で殴っておいて「痛い?」はないだろ、という話だが、実はこれ、桃井のアドリブとしてファンの間でも有名。「痛い?」という短い一言であるが、犯人像、被害者との関係性、そして犯行に至った心情などが奥行きが一気に深まっていく、桃井の天才が発揮された瞬間と言えるだろう。 ■ 澤村藤十郎「要は何が大事で何が大事でないかということです」 シリーズファンの間で高い人気を誇る2ndシーズン「動機の鑑定」では、歌舞伎役者の澤村藤十郎が、古美術商・春風堂の主人を演じて印象深い言葉を放っている。歴史的価値のある”慶長の壺”の真作・贋作をめぐる事件で、春風堂は、自分を陥れるために作られた贋作ではなく、真作の方で共犯者を殴って殺害し、壺も砕け散ってしまう。なぜ殴ったのは贋作でなかったのか。このことに頭を悩ませた古畑は、春風堂が誤って真作の方で殴ったと推理するが春風堂はこれを否定する。 「要は何が大事で何が大事でないかということです。なるほど、慶長の壺には確かに歴史があります。しかし裏を返せばただの古い壺です。それにひきかえていま1つは現代最高の陶芸家が焼いた壺です。私1人を陥れるために、私1人のために、川北百漢はあの壺を焼いたんです。それを考えれば、どちらを犠牲にするかは…物の価値というのはそういうものなんですよ」。古典落語のよくできたサゲ(オチ)のようなセリフに、さすがの古畑も脱帽、という表情を見せていたのが印象的だった。