連休狙いで泊まってみたい! 宿が舞台のドラマ3選
3連休が9日、更にはゴールデンウィーク最大10連休、盆・正月もそれぞれ最大9連休と、例年になく遠出のチャンスが多い2024年。それだけに、既に旅の計画を練っている方も多いのではないだろうか。とはいえ、今年の夏も暑くなることが予想されている。連日の猛暑を考えると観光も億劫に……。そんな皆さんに紹介したいのが、ロケの舞台として外出せずとも楽しめる宿だ。ドラマ解説者として数多のコラムを寄稿する木村隆志さん独自の視点から、各世代に刺さる「泊まりたくなるドラマ」をピックアップしていただいた。
北へ南へ日本列島縦断 野沢尚の壮大な愛憎劇
今回のテーマは“宿が舞台”のドラマ。「姉さん事件です」の『ホテル』や、2度放送された『高原へいらっしゃい』などの王道もいいが、ここではもう少し遊び心のある3作をピックアップしたい。 1作目は『私を旅館に連れてって』(2001年、フジテレビ系)。これまで何度も各地で再放送されていることからも、老若男女にウケる旅館コメディの傑作であることがわかるだろう。 物語は、イベントコンパニオンの倫子(観月ありさ)がひょんなきっかけからリゾートホテル経営者の隆一郎(中井貴一)と玉の輿婚するところからスタート。しかし、隆一郎は旅先で急死し、負債返済のため財産は差し押さえられてしまう。倫子は隆一郎の残したビデオを見て借金まみれの旅館を建て直そうとするが、「美人」「元気」しか取り柄のない倫子の再建策は失敗続きで…。 ライバル旅館の乗っ取り危機から、認知症の妻を連れて再訪した男性客、腕は確かだが頑固な板長の篠田(風間杜夫)の引き抜き話、隆一郎と前妻の子・志保(黒川芽以)との微妙な関係など各話のエピソードは変化に富んでいる上に、最後は倫子の明るさに救われるから不思議だ。一方、コメディとして面白いのは、倫子と借金取りに追われて仲居になった親友・なぎさ(矢田亜希子)との愛すべきおバカコンビ。さらに、送迎バス運転手の加賀屋(酒井敏也)のおとぼけと、彼のペットでカメの「よしだくん」にも脱力感を誘われる。 全編を通して旅館ならではの様式美を丁寧に撮影していたが、舞台となった伊豆・湯ヶ島温泉の「おちあいろう」は現在も人気宿として営業中。エンディングの映像も美しく、主題歌の福原裕美子「What would I do」はファンの多い隠れた名曲だ。 ストーリー 働くことが嫌いで怠惰な売れないジコチューモデル・笹野倫子(観月ありさ)が、玉の輿結婚を機に、廃れた旅館の女将となり奮闘、成長していくヒューマンコメディ―。